検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:55,911 hit

この感じ : 土方 ページ34

銀「…じゃ」


土「おう」



蕎麦を食い終わり、
どちらからともなく帰路を辿る。
何とも言えねぇ去り際に、
月が随分と高く登っていやがる。
さっさと立ち去りてぇっつうのに
俺を呼び止めるウザってぇ声。



銀「…あのよ、」


土「あんだ」


銀「その、……なんだ…」


土「用がねぇなら行くぞ」


銀「!…ちょ、お前、どこまで、」



再び、背を向けて歩き出す俺に
万事屋は声を張り上げる。
俺は首だけ振り返り、
その狼狽える顔を睨みつける。



土「……さぁな」



一言、零せば眉間に皺を寄せ
もういいとばかりに、
しっしっと払い退ける。
俺は煙草に火を点けながら
月を見上げて、また歩き出す。
背中に野郎の溜息を受けて
思いっきり、煙を吐く。
溜息を吐きてぇのはこちとら、同じで。




どこまで、




なんて、
知る由もなかったことだ。

てめぇもそうだろうに、
今日で痛感した。
故にこの愍然たる野郎ふたりだ。



土「深海魚…」



気に入ってたな。
あとは、甘いモノは万事屋ほどじゃねぇが
好んでるみてぇだった。
大人びてると思っていたが、
はしゃぎ方や手に取るモノは
まだまだこどもっぽくて
ああ、Aも
年相応だったんだなと思った。



土「あ?…俺、何笑って…」



楽しそうに笑ってる顔を思い出したら、
気づけば俺まで煙草を咥えながら
ニヤけてた。気持ち悪ぃ。
なんだ、この感じは。なんかに似てる。なんだ。
初めて感じるような気もするが、



にゃぁ



土「おわっ!?…んだ、猫か」



悶々と足取り遅く歩いていると
猫が足に纏わり付いてきた。
俺は小さな身体をそっと抱き抱える。



土「あんだ、お前。家なしか?」



抱き抱えた身体を
寒くねぇように、腕に包む。
にゃぁとか細く返事をして
撫でる俺の指に喉を鳴らす。



土「小せぇ身体だなぁ、
ふわふわしてやが…………、あ」



俺はハッとして、
その猫の大きな眼を
じっと見つめる。



にゃあ



土「‥‥‥‥‥‥これだ」



俺が何か分からなかった、
この気持ちの悪ぃ感情。


愛しい


って、奴だ。
道理で気持ち悪ぃ筈だ。
んなモノ、持ち合わせてなかったんだ。
たまにこうやって、野良猫に触れて
マヨネーズ与えて時と一緒じゃねぇか。
じっと見つめていたら、
眼の大きいとこや白い毛が
似てる気がしてきたぞ、大丈夫か、俺。



土「……ん?俺はあいつを
愛でてる、ってことか……?」



出した答えはまたすぐに問題を孕み、
俺はか細く鳴く猫に、肩を落とした。

自分を作る : 沖田→←向く先 : 土方



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
112人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 土方十四郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。