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好んで ページ20

「総悟さん?」



夜だし、少なめがいいかなと
ご飯とおかずに汁物を出すと
丁度いい量だと、土方さんは目の前で
マヨネーズをぶち撒ける。



土「…もぐもぐ、ああ。
さっき、こっちの方から来たんだが
どっか様子が変だったからよ」


「さっきまで確かにここで話してました」


土「…何話したんだ?」


「えと、その…」



総悟さんには優しくしてもらったけど、
土方さんには足の痛みがあることを話したくない。
心配させるのも、迷惑かけるのも、



土「まあ、別にいいけどよ。
あいつはドSの悪魔だ。気をつけろ」


「…!は、はい」



どもるわたしを気遣って、
話しを終わらせてくれる土方さん。
こういう話術や気遣いは、
わたしの得意とすることだったのに。
土方さんの前ではどうも上手くいかない。



土「美味かった。ごちそうさん!」


「お粗末さまでした」


土「悪ぃな、遅くなっちまった」


「とんでもない!片付けておくので
土方さんも早くお風呂に入って、
休まれてください」


土「ああ、頼む」



お皿を洗いに行こうと
重ねていると、立ち上がった土方さんが
その場を離れようとしないので
何だろうと顔を上げる。

どこか、苦い顔をして
わたしの足元を見つめている。


…あ、



「じゃあ、おやすみなさ、」


土「A」


「!…はい」



再度、冷えでか痛み出した足を
庇って立っていたことに
気づかれてしまったかしら。
いや、きっと
この人なら、ずっと、



土「…どうだ?ここは」


「え?…どう、とは」


土「…いや、なんだ。
もし、お前が戻りてぇのに
無理に引き止めちまってんなら
俺が月詠にでも、」


「……そうですね」


土「!?」



隙間風だろうか、ひんやりする空気が
わたしたちを包み、
夜の澄んだ空気を纏う、
土方さんを真っ直ぐに見つめる。
土方さんは、少しだけ
動揺しているようだった。



「ほんとに、とても楽しいです」


土「…」


「ご存知の通り、遊女としてしか
生きてきていませんから
戻った方がきっと、
人のお役に立てるやもしれません。
でも、わたしはきっとみなさんが
想像している以上に
今の生活を好んでいます。
きっと、これから
今の自分を好むようになるのではと、
期待もしています」



土方さんに、余計な
心懸かりを持たせたくない。

それが一番、強いけど

嘘では、ない。



「だから、とても楽しいです」


土「…そうか、ならいい。
ありがとうな。おやすみ」


「はい、おやすみなさい」

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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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