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暗がり : 土方 ページ18

はあ、と吐いた息が煙草の煙ではなく
寒さで白くなっていたのか、と
軽く身震いをしながら屯所に戻る。
夜は随分と冷えて来たみてぇだ。



土「…!総悟。まだ起きてたのか」



玄関を上がると、食堂の方から
仕事が残っていようが、
誰より先に床に就ている総悟が歩いて来た。



沖「…へえ、まあ」


土「あ、おい。ちょっと待て。
どうした、顔が赤ぇぞ。熱でもあ、」



ばっ



沖「な、んでもねぇでさぁ」


土「そうか?」



頬を染めている総悟の
肩を掴み、問い正すと
顔を背けて、俺の手を払い退ける。
総悟はまた、足早に自室に戻ろうとして
ぴたっと立ち止まる。



沖「そうだ、土方さん。
明後日、有休貰いまさぁ」


土「は?明後日?
お前な、有休は1ヶ月前申請だろうが」


沖「じゃあ、ちゃんと言いましたでぇ」


土「あ、おい!…ったく、
何なんだ、急に」



俺の返答など、端から
聞くつもりがなかったようで
あっという間に去っていく背中を睨み付ける。
溜息を吐きながら、風呂でも入るかと足を進めると
静まり返る屯所から、物音がして
先程の総悟を思い出し、訝しげに食堂へと向かう。



土「誰かいるのか…?」



嫌な想像を必死に頭の端に追いやり、
暗がりの食堂を覗く。
確かに物音がしたんだが気のせいか、



土「ひぃっ!!?」


「えっ!?」



覗いた、食堂で蠢く黒い影に
思わず、声を上げると
聞き慣れた声が返って来た。




土「…!あ?Aか?」


「え?土方さん?
すみません、暗くて見えない…。
今電気つけます、ね…わっ!!」


土「おい、暗い中あんま動く、な!
……えっ」



ぐいっっっ



「きゃっ!!」


土「あっぶね、」



がったーん



土「…ってぇ……」


「ご、ごめんなさい!土方さん、
大丈夫ですか!?」



暗がりの中、何かに躓いたのか
転びそうになったのであろう
Aの声がする方に
闇雲に手を差し伸べると
隊服に縋る手に身体を持って行かれ、
慌ててその身を抱き竦める。



土「…ああ、問題ねぇよ。
Aは大丈夫か」


「わたしは、土方さんが
受け止めてくださったので…」


土「何やってんだ、んな時間まで
電気もつけねぇで」


「ごめんなさい。
その…夜食を作ってたのですが
電気代も勿体ないと思って
厨房の豆電球で作ってたんです。
もう終わったので出ようと思ったら…」


土「夜食?なんだ、腹減ってんのか」


「え!?あ、いえ…その、
わたしのじゃなくて…」


土「……!」

誰しもが : 土方→←繊細で敏感で



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美雨(プロフ) - シリアス系の人さん» 更新が滞っていたのにコメントいただけて、嬉しいです!ありがとうございます!ゆっくりにはなってしまいますが頑張ります!! (2019年6月23日 22時) (レス) id: c9e3b5a9e5 (このIDを非表示/違反報告)
シリアス系の人 - いつも見てます!更新頑張ってください! (2019年6月23日 19時) (レス) id: 3f134b9658 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年5月19日 23時

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