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楽しみにしてた筈なのにな : 銀時 ページ35

と駆け足で来たものはいいものの…。



銀「今の時間、
やってんのこれだけだなぁ」


「…となりのペドロ?」


銀「話題作だよ!?
ただ…アニメなんだよね…。
まあ、スタジオズブリだから
大人向けでもあるんだけどさ。でもねぇ…」



チケットブース前で
うーん、と唸る俺を
じっと見つめるAちゃん。
そして、ぽつりと呟いた。



「……わたし、これ見たいです」


銀「え!?いいのか!?
アニメ映画だよ!?」


「だって、銀時さん見たいんですよね?」


銀「…え!?」



かぁっと顔が赤くなるのを感じた。
Aちゃんはやっぱり、と
口角を上げて悪戯に笑った。



銀「え、な、なんで分かったの…?」


「銀時さんの顔見てれば分かりますよ」


銀「俺そんな分かりやすい…?」


「この件に関してはそうですね、ふふ」



さすがは、太夫クラス。
男のことなんざ、掌で転がせちゃうもんなのか?



銀「あ、やべ!もう始まっちまう!
チケット買ってくんね!!」





「わぁ…これが映画館…!」



シアターに入ると、映画は宣伝が始まっていて
俺たちはひそひそ声で席へと向かった。



銀「ごめんな、初めてなのに
間に合わなくて…。えと、席は…、
暗いから、足元気をつけて」


「…わっ!」



ぱしっ



銀「だ、大丈夫か?」


「はい、すみません。
ありがとうございます」



段差にコケそうになったAちゃんを
既のとこで支える。
そのまま、細い手首から掌に
指をズラし、手を繋いだまま誘導する。




多分、




この暗がりじゃなかったら




絶対できてねぇ。
だって、




今超顔、赤いもん。俺。






銀「あ、ここだ。
よかった、本編には間に合ったな」


「…よかった!
ごめんなさい、手…」


銀「え!?い、いや…!あ、始まるよ!」





するっと自然に抜かれた指の、
熱がまだ俺の手に絡みついて
ペドロが始まったってんのに、
全然集中できなかった。
横目でこっそり、
スクリーンの光に輝く、白い肌を盗み見る。
大きな眼がうらうらして
まるで吸い込まれちまいそうだ。

鼓動がうるさくて、
快適な温度に設定されている筈なのに
訳も分からず、汗が滲んできて
ペドロの内容も入ってこない程に
五感がすべて、Aちゃんに集中しちまってる。
ペドロ、見るの楽しみにしてた筈なのにな。

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作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時

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