検索窓
今日:3 hit、昨日:20 hit、合計:149,864 hit

一欠片とて :銀時 ページ10

それから、
何時間話し込んだんだ。



途中、何度か
布団に視線を送るAちゃんに
俺はもちのろんで気づいていたが
そんなこと、そんなこと!出来る訳もなく
俺は必死に言葉を手繰り寄せ、
浴びて飲む程の酒も追いつかない程に
喉を枯らして、話し続けた。



気づけば、障子の向こうは
水色に染まり出し
酒もすっかり、底をついていた。







そして、


分かりやすく


俺は







「……もう、朝になりますね」








そんな科白を
さも、悲し気に
切な気に言ってみせる、
彼女の横顔に








惚れちまっていた。








何時間話していても、
彼女の素は一欠片とて見せてもらえなかった。
バカみてぇにべらべらと
俺が話すことにくすくす笑ったり、相槌を見せるだけで
楽しそうにしてくれることが嬉しかったが
横目で盗み見ていて、分かった。
彼女のどこか、作られたような
少し近寄りがたい、人形のような佇まいは
演技なのだろう、ことが。

いや、

これは彼女が遊女として得た、見せ方で生き方なんだろう。
故に演技でもないのかもしれない。
友達を持ったことがない彼女の素は多分、
誰も見たことがねぇんじゃねぇか。






銀「……っAちゃん、」


「…!はい?」





突然、声を上げた俺を
真っ直ぐ、捉えるその眼を
ずっと、俺に向けておきたいだなんて
朝になって漸く、酒でも廻ったか。





銀「……また、」


「……?」


銀「また、来ても…いいか、な…?」






蕩けるように微笑んで、






「………はいっ!」






って答えたそれも、
いつもやって見せてるんだろうか。

価値 : 銀時→←お友達 : 銀時



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
112人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 土方十四郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:美雨 | 作成日時:2019年2月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。