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その日は凄い雨であった。

最早、嵐と呼んで差し支えないほどの雷雨。


吹き荒れる風に飛ばされぬよう、
しかし急ぎ足にどこか雨宿り出来る場所を求め、
泥濘と化した道を進んだ。


浪人となって早数週間。
このような嵐に見舞われたのは、
これが初めてのことであった。


なんとか町に辿り着くも、
生憎と宿屋は見当たらず、やっと見つけたと思えば
急なこの嵐のせいか部屋がすべて埋まっており。

ならばと灯りの点いた民家を頼れど、
刀を持った浪人を
易々と招き入れてくれる者はおらず。


どうしたものか、と途方に暮れて
せめて雨が凌げる場所は無いかと辺りを見回す。

大木では危険だから、
出来れば岩の屋根が望ましい。
しかし洞穴のありそうな山はかなり遠い。


雨を吸った衣類は重く、
今は春前の時季であり、その冷えは
かなり酷なものである。

天気のせいか、今の状況に
少しだけ気が落ちそうになった。


浪人とはやはり、
決して楽なものでは無いのだと実感する。



だが、ここに立っていても仕方あるまい、と
とりあえず町を離れて、
近くの山を目指すことにした。

どこかに洞穴があれば、
その中で最低限、身を休められるだろう。



「……あ」



町外れの、山の麓まで辿り着いたとき。

小さな民家が一軒、
ぽつんと佇んでいるのに気が付いた。

今はもう夜に差し掛かる時刻だが、
まだ灯りが点いている。

藁にも縋る思いで、その民家に近寄った。


年季の入った引き戸を叩けば、
中から「はーい?」と女子の声が返ってきた。




「夜分に申し訳ない。拙者は姓を楓原、名を万葉と申す。どうかこの浪人を一晩だけ泊めてくださらぬだろうか」




言い終わると同時に、
ガラッと引き戸が開かれる。




──中から出てきたのは、
鈴のように愛らしい少女であった。

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思雲@誤字る塩(プロフ) - …????????え、夢主ちゃん…????こんな切ない、悲哀系だとは分かっていたけど、ここまでだとは…万葉の言動心理表現が上手すぎですね…!?とても儚い素敵な作品でした…この作品を制作してくださって本当にありがとうございました。これからも創作活動頑張ってください。 (2023年2月3日 0時) (レス) @page33 id: 658471da89 (このIDを非表示/違反報告)
?? ?りく? ??(プロフ) - あれ…目から水元素が…。最高でした。 (2022年12月4日 20時) (レス) @page33 id: 52489b2aa2 (このIDを非表示/違反報告)
ri_syen(プロフ) - もう涙がとまらなくて…( ; ; )最高の小説です (2022年10月5日 21時) (レス) @page33 id: 4f69967d38 (このIDを非表示/違反報告)
こーひー(プロフ) - 涙が...すごい好みドストライクな作品でした。うう...涙が止まりませんでした...切ない... (2022年8月17日 22時) (レス) @page33 id: da21190636 (このIDを非表示/違反報告)
Re:(プロフ) - 午後の紅茶さん» コメントありがとうございます。お名前からして水分が抜けちゃうとえらいことになりそうですね…笑 しっかり水分補給してくださいませ🍵 ありがとうございます、頑張ります! (2022年8月8日 2時) (レス) id: 7f1d8b0622 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Re: | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2022年7月19日 16時

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