第6話 イカサマギャンブラー ページ7
で私はマフィアの
中に潜む化け物を
退治するために
ギャンブル場に来ていた。
え、なんでギャンブルかって？
こっちが聞きたい。いやでもマイノグーラはここだと
言っていたし、ここはマフィアが直接管理していない
ので安全なはず。
それでも荒れてはいる。
ヤンキー、黒いスーツのお兄さん、初老のディーラー
賭けられている金額といい全てが異常
一目で非合法な場所だと分かる。
「それじゃあ手始めにそこのルーレットをしなさい
大丈夫、私が特別に手伝ってあげる。」
甘い声に細い手が背中を押す。
チップは女神がどこからか用意したもの。
男たちの中に入って行く。
後ろで女神が耳元で囁く。
「今持ってるチップ全部賭けなさい。」
私は全てのチップをディーラーに差し出す。
辺りがざわめき出す。
女神は私の後ろに立って言った。
「赤の16番、黒の3番。」
「赤の16、黒の3で。」
微かに女神が笑う。
そして玉が赤の16と黒の3に入る。
手元に最初の手持ちの倍の金額が入る。
「いい？その調子、次も全部賭けなさい。」
私はまるで悪魔にでも取り憑かれたように全てを
差し出す。
それが5回続いた。
私の目の位置ほどチップが積み上がり、他の席に
いたギャンブラーたちはお手上げと言わんばかりに
こちらを見ている。
一体いくら稼いだのだろうか？
目の前の金額に手が震える。
そして私はこう言った。
「もう一度、賭けさせてください。」
女神はニヤリと笑った。
彼女は人が堕ちる瞬間を待っていたのだ。
女神が次に玉が落ちる番号を言おうとすると…
「なかなかの腕前ですね、お嬢さん？」
後ろを振り返ると燕尾服を着た男が立っていた。
「次は私が御相手を務めましょう。」
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作者名：卯月 | 作成日時：2019年10月24日 19時
