第5話 生死が両立する ページ6
「ただいまーって
どうしたの一華、
顔色悪いわ。」
「それもそうだよ、助けた人がヤバい人だったから
死ぬ気で逃げてきたのよ!」
私はあの後家に帰り、心を落ち着かせるために
部屋の掃除をしまくっていた。
掃除はいい。何も考えずに済むから。
「あぁやっぱりね。」
「やっぱり?あの人が自 殺すると分かってて行か
せたの!?いや助けて人が助かったのはいいけど
あの人が多分未遂繰り返してるふうだった。それに
そこは神様らしく楽に逝かせてやれじゃないの?」
マイノグーラは特に興味がなさそうにこう言った。
「ま、宛が外れた訳でもないし。いつか貴方に
人を助けた福が返ってくるわ。」
女神はふよふよ漂ってソファの定位置に落ち着く。
「宛?それって今回の化け物と関係してる?」
「えぇあの男に今回の化け物が縁を結んでいると
言ってもいいわ。何かしら言霊の意味合いでも
いい、信仰でもいい。自分がそこにいるとこの世界
を騙すためには人の意識が必要不可欠なの。」
「あー、ごめん分かんないな。」
女神は呆れたようにそしてもういいと言うように
Aを見た。
「つまり今回の化け物は死の匂いに釣られるもの
ってこと。死を身近に感じる、そんな人間に
取り憑く旧支配者がいる。」
「その取り憑かれた人間があの男ってこと?」
「違う。」
「それじゃ今までの前置きは一体…」
「宛が外れた訳でもないって言ったでしょ。
この意味が分かるのは少し先。
それよりも死の匂いという言葉でピンとこない?」
「えーと、死の匂いがする場所に化け物は
出る。それは夜のヨコハマ全域…ではなくて、
人が常に死と隣り合わせの場所。
ヨコハマのマフィアの拠点?」
「正解。」
「まじか…行きたくない。てかなんで化け物に
取り憑かれてもない人間からそんなこと推測
できたの?」
「それも縁というものよ。あの男はきっと裏社会の
人間だったはず。死の匂いというものが彼からは
綺麗に拭き取られてはいなかったのも。
まるで騙し絵みたいに隠されているだけよ。」
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作者名:卯月 | 作成日時:2019年10月24日 19時