第3話 神様のお付き合い ページ4
アパートを出て駅に向かう。
大学のキャンパスに着いて教室に入るまで
マイノグーラはふよふよと私の周りを漂って
いる。その姿はさながら背後霊のような、
いや訂正、視線が怖い。
妖精ですはい。
そして今日は講義が午前で全て終わった。
午後からはフリータイム。
そして決戦の時が来た。
うちの大学の名物、焼きそばパンの争奪戦が
始まる。購買のおばちゃんが鳴らすベルの
音がまるでボクシングの試合開始のゴングだ
そして何人もの群衆を切り分け、整えた髪が
ボロボロになってついに手に入れた焼きそば
パンは直ぐに女神のお腹へ行ってしまった。
せめて1口ください。
この前は機嫌よかってくれたのに…。
泣く泣くコンビニのサンドイッチを近くの
公園で頬張っていると1人、20代前半ほどの
男がスキップをしながら草むらの奥へ入って
行く。同じ大学の先輩だろうか、いや、
見た目こそ青年と言っても不思議ではない
ぐらいだったがなんだか纏っている雰囲気が
年齢相応のそれではなかった。
不思議な人もいるもんだと思いながら
水を飲んで喉を潤す。
「そんなことしてる場合?」
「いつからそこにいたの。」
「私はいつでも貴方の傍に…じゃなくて、
さっきの男よ。今すぐ捕まえてなさい。」
「どうせ生け贄でしょ。嫌だよ。まだ
捕まりたくないもの。」
「女神の命令に逆らう「私が契約者である
以上、必要最低限の人の社会のルールには
従ってもらう。っていう約束だよね?」
「生意気な口を聞くのね。」
「でも私を殺して次の契約者を探さない
あたり、私のことをまだ弄りがいがある
って思ってることでしょ。」
女神は嫌そうな顔をして「もういいわ。」と
どこかへ行こうとするが、私の方に向いて
こう言った。
「あの男、助けなくていいの?」
私は意味がわからなかった。
そしてその疑問を聞く前にマイノグーラは
消えてしまう。
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作者名:卯月 | 作成日時:2019年10月24日 19時