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鬼より鬼の人間 ページ44

「いやはや、

よもや楓が死ぬとは

想定内とはいえ、惜しいものよな。」

「ですが玄随様、今や真白様と楓が死んだ以上

これから我々が行う儀式に間に合うのでしょうか」

「無惨を捕獲し完璧な生命体を作る実験か…」

老人は遠目で今も鬼と人間が争い、燃えている

刀の里を眺めながら何か呟いた。

「玄随様?」

「なあ、彌勒よお前はこの世に生まれてきて

良かったか?」

彌勒はその質問にすぐに答えられなかった。

なぜ自分が生み出されたのかはガラス張りの

あの部屋から出された時から知っている。

それが自分の役割なのだと

自分に利益がないと分かっていたし、

その気になれば真白のように月光院からも

逃げ出せた。そうしなかったのは何か理由が

あるはずだ…だが、そんなことも気づかず自分は

今までこの老人に使えていたのだと今わかったのだ

「この世は日と月のようなものだ。」

返答を待たずして玄随はそう言った。

「光があれば影もある。そして善もあれば悪も

ある。…じゃがそれは誰が決めた?」

「…」

「回りくどいことを言ったな。お前には自由に

生きる権利がある。もし、お前が今の月光院に

いて生きる理由がないのなら今ここで去るのも

よかろう?」

「貴方は本当に愚かですね、駄々を捏ねて親に

すがりつく子供のよう。

先程の返事は貴方次第だと今、私は認識しました

貴方が儀式を成功させ私はそれを見届ける。

それが私の生きる理由です。」

「この老人に付き合う理由はそれか?

全く持って利益がお前にはないが…」

彌勒は笑う、本当にこの老人は子供よりタチが悪い

と再認識しながら笑う。

「貴方がどれほど残酷な所業を成し遂げようと

…見せてくれるのでしょう?

私達半妖を生み出し、人を殺し、鬼を殺し

鬼より鬼の人間がたった1人の恋人のために

世界の全てを敵に回した男の末路を。」

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かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年5月6日 10時) (レス) id: 3bbaf93e64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:卯月 | 作成日時:2019年5月6日 10時

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