異能と魔法

未練2 ページ27

「そもそも私は

兄の死に関わったものを全員殺す予定でしたよ

ラヴクラフトの件は私にとって

寄り道みたいなものです。

時計塔の輩にはラヴクラフトが重要でしょうけど」

「回りくどくですな」

「…」

「つまり、貴方はこうおっしゃるか

この街全てを壊せるものは壊すと」

「あはは、そうですね。私にとって

探偵社も組合もポートマフィアもどうでもいい！

この街全てが憎い！意図的に兄を死に追いやった

奴らも！そんな闇に気付かずに日々面白おかしく

暮らす奴らも！その全てが兄の死の歯車を

回していった！」

「ふむ、何とも無茶苦茶ですな」

そう言って玄瑞は苦笑した

「まぁ、私はそんな感じですので

ラヴクラフトの件も片付けて、この街を

引っ掻き回しますよ」

「そうか、それが貴方の意志であればよい

では、交渉決裂といったところじゃな

しかし、ここで情報提供ですな」

「…」

「わしら以外の御三家が動いておる

ワシら嶺院はご覧の通りポートマフィアに

残りのフィリアルベールは組合、

メイザースは…まあ言わんでもよいだろう

貴方がラヴクラフト、そして織田作之助の件

を片付けようとするなら、今回少しでも

勢力が有利なこちら側につくべきじゃ

それをも承知でつかぬと。

異能特務課も目を光らせている

それら全てを相手取ると？」

「…」

無言、それは決意の現れか

呆れたように玄瑞は苦笑した

まるで孫を見るかのように、楽しそうに

「それでは私はお暇しますね。

ここはどうせポートマフィアの拷問室でしょう

魔法なら簡単に出られる

それでは私はこれで」

瞬きをした瞬間、スレイの姿はない

玄瑞はそっと何かを呟いて部屋から出ていった

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