家に、北山ってやつが住み着きました。2

33-fin-.* ページ33

藤ヶ谷side





.





｢ん……あ〜｣





カーテンから差し込む陽の光で目が覚める



こんなのんびりとした朝はいつぶりだろうか






珈琲を淹れて、トーストを2枚焼いた






テーブルにコーヒーのカップを置いて、お皿にトーストをのせる





そろそろかな






匂いにつられて、男がムクリと身体を起こす





『ん……藤ヶ谷ぁ』




｢おはよ｣




『……』





目をこしこしと擦っては、欠伸をする





『はよ……』





不機嫌な朝、無言のまま歯磨きをしに洗面所に向かう男




いつぶりかの光景に、涙が出そうになったのを抑えた






『ふーじがやっ』




｢ん、トースト焼けてるよ｣




『ありがとー』






ようやく目が覚めた北山がトーストを頬張る





『おいしおいし』






頬を膨らませて美味しそうにトーストを食べてる北山は、なんだか小さなハムスターに見える





『藤ヶ谷』




｢ん？｣




『……ありがとね、家』







北山の住んでたマンションは色々厳しい所だったみたいで1ヶ月入院してた分家賃が払われてなかっただけで、強制的に追い出されたそう






｢いいよ別に。これなら北山と毎日一緒に居れるしね｣




『……ああ/////』




｢北山、来て｣






朝ごはんを食べ終えて、座ったソファの横に北山を呼んだ




ちょこんと座った北山の手を繋いだ






『つめたーい笑かさかさー笑』




｢うるさいなー笑｣




『でも、藤ヶ谷の手ってなんか安心する』




｢俺も北山がここに居ると安心するみたい｣







北山の大きな瞳いっぱいに俺が映ってるのかな






｢これからもずっと、傍にいてよ｣




『……うん///よろしくお願いします/////』







幸せだね、北山




愛してるよ









.







家に、北山ってやつが住み着きました。








-fin-

ももみつです。→←32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す