家に、北山ってやつが住み着きました。

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藤ヶ谷side





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玄関のドアを開ければ、ウィーンと、掃除機の音が聞こえる





リビングの扉をそっと開ければ、北山が掃除機をかけてる姿が見えた




『……あ、おかえり』







そういつものように笑ってる北山は



さっきのことなんてなかったことのようにしてくれてるみたい







｢北山……｣




『……』






掃除機の音がうるさく、俺の言葉を遮ってくる






名前を呼んでも反応してくれない北山の掃除機を持つ手をそっと掴んだら



北山は、掃除機を手から落として、不安気に揺れる瞳で俺を見上げている





落ちた掃除機の電源落として、北山の方をみた






『ご、めん……嫌だった？勝手に…掃除なんて』






なぁ、どうしてお前が先に謝るんだよ



そんなこと俺、思ってないよ






｢ごめんな…｣




『……え？』




｢さっきはごめん、言い過ぎた｣







俺の言葉に、目を大きく見開いてるその瞳から、今にも涙がこぼれ落ちそう





『……藤ヶ谷は、悪くないよ……俺が変なこと言うから、だから……』





震えてる北山の背中に、そっと触れれば、身体をぴくりとさせて俺を見る大きな瞳から、はらりと涙が落ちた






『…ごめん、俺……藤ヶ谷に、迷惑しかかけてなくて、俺の身勝手にっ、巻き込んじゃって……』






時々荒く呼吸をしながら話す北山が、過呼吸になってしまわないように、そっと触れた背中を摩ってあげる




『でもお前っ、優しいからっ……無理っしてんじゃないのかなって』




｢俺…結構楽しいよ｣




『……え？』




｢北山と違って、表情にあんまり出ないから…分かりづらいかも知れないけど……


それに、家事だって正直凄く助かってる｣







｢泣くなって笑｣





ポッケに入れてたハンカチで、北山の涙を拭えば





『女子力高いかよ……ぐすっ』




なんて突っ込む北山は、ちーんっと鼻をかむ






『はい……』




｢きたねぇ笑｣




『……俺、いてもいい？』






不安そうに、弱々しく言う北山





｢正直、見ず知らずのやつが居候なんて、有り得ないって思った｣




『……』






俺の言葉に、分かりやすく落ち込む北山は、小さな体がさらに小さく見える






｢でも、北山なら……いいよ｣




『……藤ヶ谷』




｢悪いやつじゃないし…ちびだし｣




『はっ、はぁっ？//』




｢ふふ、笑まぁ…さ？気が済むまで居れば？｣







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