夏の声

〇 ページ13

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ずっと続きを読めないでいた手紙を




ようやく開くことが出来た






ごめんね、宏光くん




沢山時間かかっちゃって







やっぱり、凄く綺麗な字だった







『A、俺ね



Aがいてくれて…久しぶりに心から笑えた



病弱だった俺は、医者からもう長くないって



言われちゃって、家族が泣くんだ



だから、俺は笑ってないとって…



でも、Aの手紙を読むと、なんでか



いつも笑ってた



Aがやりたいこと、俺と同じだった笑



この子、こんなことがやりたいのかって



Aのこと、もっと知りたいって思った



Aに、会いたくなった』







宏光…



何度も涙が零れた




ちゃんと読みたいのに




涙が我慢出来ない







だめ、ちゃんと拭って




宏光の声を聞くんだ






『海に行って、砂浜に座った女の子を見つけた



その子は、海に向かって笑ってた



その笑顔が、凄く綺麗で



見とれてしまった



驚いたよ、その子がずっと会いたかった



Aだったんだから



誰かと一緒にお祭りに行ったのは



あれが初めてだった



楽しかったな、あ、A金魚すくい上手すぎ



でも、俺も射的上手かったでしょ？



あ…あの時、Aもしかしたら、俺の事見てた？



かっこいいでしょ〜笑』





ふふ、ばれちゃってたんだね





『Aと花火見た



綺麗だったね、凄く凄く



Aが笑ってくれた



あぁ、もうそれ反則。



我慢出来なかったじゃん、



Aを抱きしめて、このまま時が止まればいいのに



って…本気で思った



離れたくないって、離したくないって



A…あの時、言おうとしてくれたよね



本当は、すっげぇ聞きたかった



そして言いたかった




俺も、Aが好きだよ』






宏光くん…っ






『でも、俺はもう



Aと一緒には生きていけないから



その言葉は言えなかった



でも、ごめんね



Aにキスしちゃって



あの時きっと…俺たち繋がれた



言っとくけど、俺のファーストキスだかんな笑



忘れんなよ笑』






忘れるわけないじゃん…




私だって、ファーストキスだったんだからっ







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