夏の声

Re: ページ1

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1枚の手紙を拾った




そこには、


海に行きたいだとか、スイカが食べたいだとか




泳ぎたい、サーフィンしたい







｢なにこれ笑｣





やりたいこと？がたくさん書いてあった






｢綺麗な字…｣






宛先がなかったから



勝手に広げて読んでしまって




少し罪悪感が残るけど






久しぶりに、誰かの言葉に



自然に笑えた気がする







｢この人、住所書いてある｣




｢名前も…きたやま、ひろみつ？｣






綺麗な字を書く人



それが宏光くんの印象






なんとなく



本当になんとなく





夏休みだって言うけど



別にすることもなかったから、






この手紙に、返事を書いてみることにした





手紙の最後に




『手紙、読んでくれてありがとう。良かったら、返事くれたら嬉しいな』






可愛らしい言葉が書いてあったから





｢確かここに……あった！｣





引き出しの奥にしまわれた向日葵の絵が描かれた便箋と封筒



いつかおばあちゃんに貰ったそれは




使われることを待っていたかのよう







｢手紙読みました。


北山さん、はじめまして。


夏が始まりましたね



私は、お祭りに行きたいです。


りんご飴が食べたいです


金魚すくいがしたいです｣





私も、やりたいことを書いてみた




花火も…したいな…






封筒の裏に、住所と名前も書いて



ポストに入れた





返事…帰って来るといいなって








思えば、誰かに手紙を出すのなんて


初めてな気がする





｢お祭りかぁ…｣





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