おとなり

〇*36.〇 ページ36

北山side





.





『みっくん〜…』








『みっくん…ごめんね』







昨日のこと




あれは、俺もちょっと言い過ぎた






『…私、頼りないの』





｢…A？｣





『みっくん…寂しい｣







眠気に耐えながら




何かを伝えようとしてくれるAだけど






やっぱり、眠たいみたいで








｢ほら、ここで寝るな｣







Aは顔をぶんぶんっと横に振って抵抗する








｢A、｣





『みっくんの、力になりたいのに…みっくんは私には何も言ってくれない…』







『みっくんはいつも…私を………のに、』






何かを言いかけて、Aはついに



眠気に負けてしまったみたいで






｢…たく｣







そっと、ベッドへ運んだ







ごめんな




Aから初めて聞いた言葉に



嬉しさを感じたけれど






じゃあさ…






｢Aが好き…｣





でも、お前には好きな人がいる







｢なぁ…どうしたらいい？｣





｢…なんて、お前に答えられるのかよ｣







『……みっくん』







…んだよ、




俺の名前を、呼ぶな…






Aの夢の中に、俺がいるって




想像するだけ、嬉しくて堪らなくなる







これ以上…好きにさせんな






お前からもう、離れられなくなってしまうだろ








｢A…｣






もう…どうにでもなればいい




明日の君の戸惑う顔なんて知らない








｢…おやすみ｣






そっと、Aの隣に寝そべって




Aの頭と首の間から、右腕をそっと忍び込ませる








腕枕




許してくれよな







明日は、土曜日なんだから








.

〇*37.〇→←〇*35.〇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す