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北山side




.




藤「ちょっと俺と抜け出さない?」



「えっ?」





そう言って、手を引かれる



たまにもされたことなのに





どうしてこんなにも違うんだろう



胸がじんわり温かくなって





触れる指先から


熱を帯びていく感覚






「...藤ヶ谷」




無性に、君の名前を呼びたくなった






学校の屋上



立ち入り禁止って書いてあったのに


鍵しまってなくて





ラッキーだねって





ねぇ藤ヶ谷

今まで何してたの?



聞きたかったことも


全部、どうでもよかった




ここに藤ヶ谷がいる



それだけで充分だったんだ





藤「ねぇ北山」



「ん?」





「...んっ?///」





藤ヶ谷の細い腕に


いつしか包まれていて




耳に藤ヶ谷の息がかかってくすぐったい




「...どうしたの?」




でも、すぐに心配になった



何かあったんじゃないかって





藤「北山とずっと、こうしたかった」



「...え?」





離れた藤ヶ谷が


今度は目の前に来て




俺の頬に手を伸ばす




そっと触れられた手は


やっぱり温かくて、涙が零れてきた




その涙を、藤ヶ谷の指がそっとなぞる




藤「北山...」




藤ヶ谷の顔が、近づいてくる



キス...される





そう思って、


ぎゅって目を瞑った




藤「よしよしっ」





頬にあった手が今度は頭に移動して



わしゃわしゃと乱すように撫でる





「やめろっ...///」





藤「ねぇ北山」



「ん?」



藤「明日1日、俺と一緒に過ごしてよ」



「明日?」





文化祭を一緒に?





でも俺は...たまと、


でも、それを言ったら終わってしまう気がした





「一緒にいる、藤ヶ谷と。」





気づいたら、そんな言葉を言っていて



心の奥で何かが燃え上がり始めるのを感じた





それはきっと、俺もちゃんと知っている感情



のはずなのに





その感情はきっと、気づいてはいけないもの





俺には大切な人がいる


約束した



守らなければ行けない人がいる





藤「ねぇ北山」



「なに?」



藤「1つさ、お願い聞いてくれる?」



「お願い?」





藤「明日はさ、明日だけは、俺の事だけ考えて」





「藤ヶ谷のことだけ...?」






そのお願いは、意外だった


どうしてそんなお願いをするのかも



よく分からなかったけど





藤ヶ谷が望むなら、叶えようって思った





「分かったよ」




.

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作者名:ももみつ | 作成日時:2019年7月24日 21時

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