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「今日会わせるよ」





なんて、俺が望んでいたことなのに



宏光は本当に…俺のこと、






「来た?いいよ、連れてきて」






脈がドクドクと緊張を伝えている




『失礼します』




「…宏光」






あぁ、宏光だ



宏光が今、俺の目の前にいる


ずっと、ずっと会いたかった




嬉しくて、

涙が出そうになった







『初めまして、北山です。えと…藤ヶ谷さんですよね?この間のドラマ見ましたよ』





誰が見ても爽やかな答えと話し方





「…」




『本日から無事契約となりまして、藤ヶ谷さんの後輩になりました。よろしくお願いします!』




「…………初めまして、」







伸びてきた手に答えれば、握手を交わした







『今度主題歌されるんですって?藤ヶ谷さんの歌か〜、聴いてみたいです!』





むふふって笑う顔はいつもと変わらないのに


こんなにも






『楽しみにしてますね』




「…ありがとう、ございます」






遠いんだ



まるで、他人みたい






そっか、初めまして、だもんな





君にとっては、俺は…







「…すみません、俺もう帰ります」




「えっ?これから3人で食事しようと思ってたんだけど、」




「すみません、まだ体調が」






コソッと耳打ちすれば、



「…あぁ、そうか。それはすまなかった。


じゃあ北山くん、2人で行こうか」







会いたかったのは、俺なのに



後悔した






初めまして、そんな言葉が



こんなにも苦しいなんて、知らなかった







「…っ」




宏光…



なぁ、冗談だろ?





藤ヶ谷さんって…なんだよそれ




太輔だって、



太輔って、そう呼べよ…







「…なんでっ」







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作者名:ももみつ | 作成日時:2021年5月14日 8時

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