優しい雨

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side.F





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『…もう、帰らないと』




｢え…こんな時間に？｣






家遠いって言ってたし



電車だとしたら、終電もないよ？





｢それにまだ雨だって｣




『雨ならもう止むから、そしたら帰らないと』




｢…そっか｣






俺に、引き止める理由なんてない





『ありがとう、太輔。今日俺、凄い楽しかった


こんなに楽しい日は初めて』




｢大袈裟だよ…｣




『ねぇ…また会いに来るね』






また、雨の日にって



宏光はくしゃって笑って






『じゃあね』って



白い靴を履いて出ていった






帰るなら、もっとちゃんとした服を貸したのに





｢ぁ…｣





宏光の服、洗濯機に入りっぱなしだ






でもまぁ、いいか、また来るって言ってたし






｢雨、止んだんだ…｣






いつの間にか、雨は止んでいて


雲間からは、星が輝いてるのが見えた






｢台詞、覚えよう｣






また、テレビに出てたら



宏光が驚くかなって






｢…って｣






何俺、今日初めて会ったやつのことばっか考えて




…違うな、宏光が変だからだよ、きっと







だって、何もかも知らないんだよ？




気にならない方がおかしい







そうでしょ？






｢またって…いつだろ｣







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