優しい雨

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side.ki





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『あっ』




みつけた







今日も遅いんだね



もう、月も明るい真夜中だよ






『…また』





泣いてるの？






俺はいつも、君のことを見ていた



最初はただの好奇心





人混みが苦手なのか、いつもこの


誰もいない路地を歩くから





なんでだろうって目で追っていて






その内、君が通るのが楽しみになった





俺の生活は、なんていうか退屈だったから



君のことを考えてる時間は凄く凄く楽しかった






今日は何してた？




楽しいことあった？



それとも…






『ねぇ…どうしたの？』






君の背中は、最近…凄く悲しそう






本当は、君に関わるのはあまり良いことじゃないんだ





でも、今日はどうしても



放っておけなくて、君に初めて声をかけた







『泣いてるの？』







君は俺の姿を見て、戸惑っていた




君を慰めたかったのに、






｢そんなにびしょ濡れで、風邪引くよっ｣






君は自分の羽織ってた上着を俺の肩にかけてくれた



君は、優しい人なんだね






｢ねぇ、靴は？｣




『靴…？』




｢何かあったって、こっちの台詞だよ…｣







行くよって、手を引かれた



人混みが苦手なはずなのに、君は俺を連れて、街を歩いた






｢はい｣




『…これ』




｢これでもう痛くないでしょ｣







足を覆ってくれる真っ白な、靴というもの







｢これ、あげるから｣




『…いいの？』




｢うん…さっきのお礼かな。なんだか、気がまぐれたし｣






ありがとうって、君の手が、頭に優しく触れて



こんな気持ちは初めてだった







｢家近く？｣




『家…』




｢帰る場所ある？｣




『帰る場所は…凄く遠くにある』








帰りたくないよ…折角会えたのに







｢そっか…俺、家近いし、あがっていきな？風邪引くから｣




『いいのっ？』






まだ、君と一緒にいれるっ




そう思ったら、今まで感じたことがないくらい



嬉しかった








ねぇ、この気持ちって



なんだと思う？





どう説明したらいいんだろ




なんだか、心が凄く熱いよ





ねぇ、知ってる？






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