優しい雨

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side.ki





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『太輔…』




｢あ、宏光。久しぶりだね｣







元気だった？って、いつもみたいに笑ってる




なんだ、全然心配することなんてなかった









『うん、元気だよ。太輔は？』




｢俺もー、うん、元気だよ｣




『そっか、良かった』




｢そちらの人は？宮田の友達？｣




｢違うよがやさん、宏光くんの友達だって。｣







ねって、たまに微笑みかける宮田に



たまは、嫌悪の顔を浮かべてる


嫌いなのかな







｢君が太輔っての｣




『…ちょっと、たまっ』








殴りかかるんじゃないだろうか



そんな血相して、太輔に近づいてくから止めようとした







｢よろしく。俺はみつの友達、たまって呼んで｣






ふわふわ笑ってる






｢うん、よろしくねたま｣






握手なんかして




なんだよ


ほっとした







｢コーヒーいれてくるね｣






そう言って立ち上がった太輔が、倒れそうになった



のを、支えたのは宮田だった






｢いいよがやさん俺がやるから座ってて。いくら痛み止め打ってたって痛むでしょ｣







怪我…？





『太輔、どうしたのっその足！』







指を固定してるのか、足全体に巻かれた布







｢ちょっと折れちゃっただけだよ｣





親指の骨、舞台で使ったワイヤーの不具合が生じて、太輔は舞台の上に堕ちたらしい







｢はい、コーヒーいれてきたから｣






宮田は、知っていたから




太輔のことを気遣ったんだ







俺は、知らなかった




だから…



動くことすら出来なかった









今は暑い夏、きっと雨ももう時々しか降らない







俺に、太輔は支えられない







俺には…太輔を





｢どうしたの｣




『たい…すけ』







どうしようもなく、優しい顔して



俺のこと見るんだ







｢…宮田、ちょっと外行こ｣




｢え？なにしに…｣




｢…うるせぇ、とっととついて来いや｣







そんな顔して見ないで




ごめんね、太輔…ごめんね


俺はね…諦めなきゃいけないと思うの






俺は、



1番大事な時に、そばにいてあげられない







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