嘘つき (ページ48)

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北山side

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「藤ヶ谷...なんかあったのかな」

玉「がや？」

「なんだか、様子が変な気がして」

玉「そう？」

なんだろう

胸に残るこのモヤモヤとしたもの

玉「ねぇみつ」

「ん？」

玉「肉食べたい」

「え？笑」

たまが肉だなんて、なんか珍しい

玉「つきあって」

そう言ってやってきた

「バイキング！」

お肉がいっぱい！

「うお～っ」

美味しそうなお肉を前に

テンションが上がる

玉「みつ、お肉好きだよね」

「大好き～」

お肉を持ってきて

テーブルにあるコンロで自分で焼くスタイル

「美味しい～」

「でも、たまがお肉とは珍しいよね」

俺がお肉好きだから

連れてきてくれたんじゃないかって

淡い期待は

たまの言葉で簡単に壊された

玉「柚月がね、来たがってたんだ」

「そうなんだ、」

たまが想うのはいつだって柚月さん

わかりきっていることなのに

落ち込みたくなってしまうのは

どうしようもなく、すきだから

玉「友達とよく来てたんだって。楽しそうに話してたから、どんな所かなって」

たまの目がほんのり赤みを帯びている

たまは、

柚月さんが亡くなったあの日から涙を見せていない

お葬式に、告別式だって

強がりな所があるから

柚月さんの言葉を思い出した

「たま」

玉「なんで、泣いてるのよ」

「...わかっ...ない」

玉「やめてよ、」

「ねぇたま...」

「泣いてもいいんだよ」

玉「...っ、」

持っていたお箸を置いて

たまの頭をそっと撫でた

藤ヶ谷にね

こうして貰った時

素直な気持ちになれたんだ

玉「...うぅ...ご飯がしょっぱくなっちゃう」

そう言って涙を拭ったたま

玉「食べてから...」

「ふふ笑」

そうだねって、残りのお肉を食べた

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