嘘つき (ページ38)

今日:22 hit、昨日:37 hit、合計:77,508 hit

38 ページ38

北山side

.

柚月さんのとこには

今日は行けない

ｶﾗﾝｶﾗﾝｯ

紐を揺らして大きな鈴を鳴らす

手を合わせて、目をつぶる

『柚月さんとたまがもっとずっと長く...一緒にいれますように』

病気なんか、嘘でしたって

「...」

藤「行こっか」

こんなことしか出来ない

無力な自分

藤「綺麗だね」

「夕日...」

藤「明日はきっと、元気になる」

「...藤ヶ谷」

藤「想いは伝わるよ」

「そうだな」

夕日...

不思議...

「なんか、前にもこうして2人で...夕日を眺めてた気がする」

本当はもっとずっと...

「...藤ヶ谷と、もっとずっと早く出会いたかったな」

藤「...俺も」

そっと、横を向けば視線が合う

「...ふふ笑」

.

ねぇ神様、お願い...聞いてくれましたか？

.

.

.

昨日まで穏やかだった空が

一瞬で暗く重たいものへと変わったんだ

玉「もう...本当に、時間がないって...」

「え...？」

お参りも、

買ったお守りも、

結局、なんの意味もなかったんだ

「うそだ...」

玉「...俺、俺やだよ...っ」

目の前で涙を流してるたまに

何も出来ない

うごけなかった

本当に、ショックだった

だって...そうでしょ？

柚月さん、お見舞いにくればいつも

笑って出迎えてくれるんだよ

玉「みつ...っ」

玉「...俺っ...俺っ」

「...たま」

たまが、泣いてる

柚月に、泣き顔見せらんないから

そう言っていつも、涙を我慢していた

肩が震えてる

たま...怖いね

辛いね

そっと、抱きしめた

玉「...っ」

俺が泣いてはいけない

たまの為なら、強くなれる

.