嘘つき (ページ19)

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北山side

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玉「...みつ」

たまの声に体がピクッと、反応する

玉「昨日はごめん」

玉「俺...みつに当たっちゃったんだ」

玉「優しくしてくれるみつに.....最低だね」

たまの声が、震えていた

どうしたの...？

玉「嫌われ...ちゃったよね」

どうして、そんな顔をするの...

今にも泣きだしそうな、辛そうな顔を

「嫌いになるわけないよ」

玉「みつ...」

「嫌いになんかならない...だって...」

たまは、俺が初めて恋した人だから

思わず言葉にしそうになった

好きだよって、言いそうになった

でも、言えなかった...

「何か、あったの？」

玉「...彼女に、もう、会いたくないって...言われちゃってさ」

彼女...

玉「それが彼女の強がりだって...分かっていたのに、俺...彼女のそばにいてあげられなかった」

玉「逃げたんだよね...彼女から」

玉「自分がどうしようもなく嫌になった...」

玉「彼女の元へ行こうか、学校へ行こうか...そんな時...みつが来た」

そこで初めて俺と目を合わせたたま

申し訳なさそうにごめん、と頭を下げた

玉「俺...嘘ついたんだ」

「うそ...？」

玉「本当は、あんなとこだって初めて行った。全部忘れられたらって、もう、どうにでもなっちゃえって...」

玉「馬鹿だよね。そんなことしたって、忘れられっこないのにっ」

泣かないで...

玉「みつ、優しいね...」

そっと伸ばした手を、たまの頭に置いた

玉「...彼女が1番辛い時に...俺.....何やってんだろう」

玉「彼女ね...」

玉「もうすぐ...死んじゃうんだ...」

「...え？」

玉「...死んじゃうんだ...」

たま...

玉「...っ」

目の前で泣いているたま

頭が考える前に、体が動いていた

気づけばたまは俺の腕の中にいて

声を押し殺して泣いていた

好きなんだね

彼女のことが、凄く凄く、大切なんだね

玉「嘘だって...嘘だって言ってよ...っ」

なんて、言ってあげたらいいんだろう

こんな時、なんて...

考えても、言葉なんて出てこなくて

ごめん...

抱きしめる力を強めた

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