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北山side
.
何分経っても
藤ヶ谷は来ない...
やっぱり、さっきの説明じゃ...分からないよな
「...」
まだ、クラブの近くにいる
たまが...出てきたらどうしよう...
ここから離れればいいのに
動けないよ...
ねぇ藤ヶ谷...早く来て...
早く俺を隠して...
「...っ」
藤「北山ー！」
「...藤ヶ谷」
声に振り向くと、そこに
藤ヶ谷がいた
「ふじ...っ」
藤「心配した...っ」
俺よりも大きな腕に抱きしめられて
それが、温かくて...
「...ふじがや...っぅ...藤ヶ谷ぁ...っ」
安心したんだ
藤ヶ谷は、何も言わず、ただ
抱きしめてくれた
きつく、強く...
「...もっと」
「もっと...強く抱いてっ」
嫌だ...もう、わかんない
わかんないよっ
「たま...っ」
「すきだよ...っ」
.
.
.
.
.
.
.
藤「北山はい」
「...ありがと」
藤「あーあ、目、晴れちゃったな」
藤ヶ谷は、泣き疲れた俺に
喉乾いたでしょ？って、水をくれた
藤「ちょっとそれで冷やしておきな？」
「うん...」
藤「...にかも、心配してたんだよ」
「...ごめん」
また、涙が出そうになった
藤ヶ谷は、頭を優しく撫でてくれた
いつものくしゃくしゃするやつじゃなくて
もっと...優しくて、温かい...
藤「どうする？家戻ったらお母さん心配するんじゃない？」
「...」
藤ヶ谷は、何があったとか
どうした？とか、聞いてこない
それが優しさだって分かる
でも、
「藤ヶ谷...」
藤「あ、お腹すいた？いっぱい泣いたもんな」
「...俺ね」
藤「どこか、ご飯食べに行く？」
「俺、たまが好きなんだ」
藤「...」
「今日...学校来る時、たまに会ったの...。」
藤ヶ谷に、全部話した
今日あったこと
俺が思ったこと、全部
「なんでなんだろうね...っ俺...たまが好きなの」
「苦しくてっ俺...っ」
藤「もう、いいよ。」
その時、初めて藤ヶ谷の顔を見た
悲しそうに、笑っていた
藤「辛かったな...」
「...うんっ」
どうしようもなくて
全部吐き出しちゃったこと
藤ヶ谷は、全部...分かってくれた
それが、凄く嬉しかった
.
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作者名：ももみつ | 作成日時：2019年6月19日 6時
