第92話 ページ50
1日というのはあっという間で、もう夕方。
学校はとっくに終わっただろうし、学校の人に会うことはない。
最後に乗るのは、やっぱり定番の観覧車。
昼間に観覧車に乗って太陽の近くに行くのは気が引けたから、
今なら日も沈んで少しだけ涼しくなってきたし、丁度いい頃合いだと思う。
でも違和感。
普通は観覧車って向かい合って座るもんだと思ったけど…
「なに?」
「カルマ君が私の隣りに座ったことにビックリしてるんだよ…」
「え、何で?」
「だって、向かい合った方が広々と座れるでしょ?」
「Aらしい正論だね」
ははっと笑うカルマ君。
どうやら移動する気はないらしい。
…別にいいけど。
外に目を向ければ、夕日は沈んで、橙色と藍色が交わって、普段では見れない光景。
思わず見いってしまう。
「A」
「どうしたのカルマ君?」
「…今日、楽しかったよ。すごく楽しかった」
「…ん。私もね、楽しかった。学校サボって良かった、なんて思っちゃって、私も悪になったなぁ…」
「大丈夫だよ。Aは十分生真面目だから」
…素行不良のカルマ君に言われてもフォローになってないよ。
でも、後悔はしてないんだ。
昔の私なら絶対に出来なかった。
変わった。変われたよ。
もう『医者の娘』って肩書きに縛られる私じゃない。
今は、私を見てくれる人達がいるから。
*
「まさか寝過ごすなんてね…」
「2人して爆睡だったからね。まあ良かったじゃん。すぐに気づいて」
「…いいの、それで」
2人して電車で熟睡してしまい、今は私を駅まで送ってくれたカルマ君が乗る電車を待っている。
待つなら1人より2人って言うものね。
話し相手ぐらいにはなれる。
「…カルマ君。今日はありがとう」
「サボりの共犯にさせたのに、お礼?」
「変じゃないよ。カルマ君には色々とお世話になってるし。…それに」
「ん?」
「カルマ君のおかげで私変われたの。ありがとう、カルマ君」
タイミングよく電車が来た。
でも、隣りのカルマ君に乗る気配が見られず、どうしたのかと彼を見上げた。
「……!!」
眼前に広がるカルマ君の顔。
唇に感じる熱。
ずっと前に抱きしめられた時と似ているが、その非ではないくらい頭の中が真っ白だ。
そっと離れていく彼。
カルマ君は「またね」と一言だけ言って、閉じかけた電車に乗ってしまった。
「(えええええええ!!!?)」
.→3rdに続く
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ミッキー(プロフ) - あけびさん» 私もこんな子をイメージして日々書いています(*´∀`) (2015年4月14日 20時) (レス) id: 72061eb485 (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー(プロフ) - 蓮華さん» 光栄です(*´∇`*)ありがとうございます! (2015年4月14日 19時) (レス) id: 72061eb485 (このIDを非表示/違反報告)
あけび(プロフ) - お話面白いです!絵うまいですね(*^^*)こんな子をイメージして読んでいたので、作者さんの描写の上手さを感じました。尊敬します!頑張ってください (2015年4月12日 0時) (レス) id: 42d555bd8d (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - イメージぴったりで、ビックリしました♪羨ましい限りです (2015年3月20日 20時) (レス) id: 14f33ca9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ミッキー(プロフ) - 蓮華さん» 皆様のイメージが崩れないか心配でしたが、そう言って頂くととてもありがたいです(ノ´∀`*) (2015年3月20日 20時) (レス) id: 72061eb485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミッキー | 作成日時:2014年1月16日 23時