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『来月末、ロスに行く』




しばらく連絡もとってなかった三ツ谷から急連絡がきたと思ったら、内容まで急すぎて思わず通知を二度見した

サークルの旅行で余った大量の酒類が冷蔵庫を占領していて、とにかくこの量を消費したくて三ツ谷を家に呼ぶことにして。まだ外は明るいのに既に何本か空になった缶をぼーっと眺める










「Aには言わねーの?」


とあいつの名前を出せば、驚いたのか瞬きを何度かする三ツ谷






「なんでAが元カノって教えてくれなかったんだよーお前ーー」




大学に入学してあまり経たないうちにAと知り合って、
人並みに恋愛はしてきたけれど、自分から惹かれたことは初めてで。三ツ谷に相談した時、あいつは俺が言うAって人物が、同名の別人でなく自分の元恋人だと分かっていたはずなのに、俺には明かさなかった。



それが、俺への配慮だったのか、あいつの中でまだ終わってないことだったからなのか、今となればもう分からないけれど




Aから三ツ谷と付き合っていた、と聞いた時
口には出さなかったけど、Aの中でもまだ終わってないんだろうってことは気付いていて


正直、Aの中での俺の立ち位置なんてどこでもよかった
それが、結果的にAを悩ませることになってしまっていたけれど






「マイキーからAの話聞いた時、すげー勝手だけど変な男に取られるよりマイキーに任せた方が俺も都合がよかった、って言ったらあれだけど。マイキー通してあいつの話も聞けるし、手の届くところにずっと居てくれるような気がして」




お前に失礼だよなあ、と三ツ谷は柄でもないことを言ってから何処か納得のいかないような顔をしていた




「あの子、なんていうかすごく他の人に対して壁を作るじゃん。自覚あるのかわかんないけど」

「…まあ、確かに」

「そのくせ寂しがりで、泣き虫のくせに俺とか友達の前で泣くことほとんどないし。そういう子だって分かってたからAが俺を受け入れてくれた時、すごく嬉しかった。俺は特別なんだって、舞い上がってたし。この子は俺が支えなきゃって、」






普段口数が多い方ではない三ツ谷が、酒のせいか今日はやけにぺらぺらと喋るのを、俺はただ聞いてるだけだった。




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作者名:Anju | 作成日時:2022年8月13日 17時

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