40話 ページ40
外で風に当たっている時だった。
隣に緑間真太郎が並んだ。
『何の用？』
「しばらくの間は、積極的な活動をしないんじゃなかったのか？」
『あ、エース君から聞いてる感じ？』
振り返って手摺に凭れた後藤は、緑間を見なかった。
壁を見たまま話し出す。
『そのつもりだったんだけどさ。
さすがにちょっと痛い目見てもらおうと思って』
「それで俺との勝負を逃げたら許さんぞ」
『はっ、君の相手はウチのエースがするし、黒子くんの相手は君の相棒が。
自分の出る幕は無いでしょ』
「貴様は試合に出ないつもりか？」
『俺は別に出なくてもやって行けるからなぁ。
試合にこだわりはないし、勝ち負けなんてどうでもいい』
「勝たねばつまらん試合でもか」
『そのつまらない試合って、なんの事？
全中最後の決勝戦みたいな？』
そこでようやく後藤と緑間の視線が合った。
どちらにも違う怒りが燃えていて。
『同じ天才として言わせてもらうけど、見てる側としてはつまんなかった。
テメェらのくだんねぇゲームに、巻き込まれなくてよかったって心底思った』
「なんだと？」
『だってそうだろ、たかがスポーツに何そんな熱くなる。
つまんなきゃダメなのか？』
「勝ってこそ意味があるだろ」
その一言を聞いた後藤は、緑間から視線を外す。
今度は壁ではなく、空を見上げた。
『目の前にディフェンスが居てさ、それを抜けたら嬉しい。
それを抜けて、シュートが決まれば嬉しい。
そのシュートが決まった後の歓声が気持ちいい』
「ふっ」
『バスケなんてそんなもんだろ。
必ず勝ち負けで命でも失くすようなゲームしてる帝光が解せないよ』
「甘っちょろいな」
『けどやり始めた頃なんて、皆そうだろ。
誰だって上手いわけじゃない』
空に手を伸ばした後藤。
遥か遠くにある空には届かない。
それは才能も同じで。
『自分らはさ、こんな気持ちを味わうためにバスケをやってるんじゃない。
ただバスケが好きでやってたんじゃねぇの？』
「そんなくだらない感情じゃないのだよ」
『…………まぁお前もいつか絶対分かるから』
後藤は手を下ろすと、脱げかけたジャージを直す。
『楽しもう、次の試合』
それだけ緑間に残し歩き出した後藤。
過去に負けたことのある緑間は、彼の余裕さに舌打ちを我慢できなかった。
「今度は負かす！！」
高々に宣言した緑間に、後藤は後ろ手に手を振るだけだった。
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美園(プロフ) - 更新ありがとうございます！めっちゃ好きです (1月2日 18時) (
レス) @page42 id: 0b7aaa97b0 (このIDを非表示/違反報告)
こと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！続き待ってます！！ (12月27日 10時) (レス) @page41 id: 8bdd3d2cd9 (このIDを非表示/違反報告)
メンヘラ君。(プロフ) - 夢主君かっこいいですね!更新楽しみにしてます!無理せず、がんばってください! (2023年3月31日 22時) (レス) @page10 id: 49ed8a4d79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：塩こんぶ | 作成日時：2023年3月18日 23時
