転生者の気紛れ演義 (ページ8)

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あれは… ページ8

農家でお世話になった後、小父さんと小母さんに別れを告げて、西岐城へと向かう。

【すぴー…】

いい天気なので、那穣は宝貝の珠の上で四肢を放り出した、可愛らしい姿で寝てしまい、私も正直寝たい。
三日と経たずに崑崙山で寝ていたくなってきたのは、こんないい天気なのが悪い。

どうしよう。
まだ太公望に会ってないけど、崑崙山(せんにんかい)に戻ろうかな。

そんな考えをして崑崙山のある方角へ視線を向けると、宝貝ロボ・黄巾力士が西岐へ飛んでくるのが見えた。

『那穣。悪いけど、起きて仕事を頼まれてくれる？』

【んむ…なに？】

クァーと欠伸を零す那穣に、宝貝を使って遠くの音――黄巾力士の音を聞くように頼む。
もし、黄巾力士が太公望宛ての伝言ならば、それも聞くように告げて。

【いーよー…】

そういいながら宝貝の布に触れ、
【宝貝・紅巾(こうきん)――聴覚強化】
とテレパシーでいいながらコンと鳴いた。

それから那穣が聞いた事をまとめると、あの黄巾力士は元始天尊の使いで、太公望に「武成王がピンチだから朝歌へ向かう」ように告げたという。

『それで、望君は武成王を助けに行ったのかな？』

【うん。四不象に乗って行ったみたい】

『それが判ればいいか。ありがとうね、那穣』

お礼を告げて那穣の頭を撫でると、那穣は【えへへ】と照れながら目を細め、私の手にすり寄った。

【それで、母さんはどうするの？】

恐らく、妲己は黄飛虎たちに追手を出すだろう。
聞仲に発破(はっぱ)をかける為にも、そうするだろう。
発破を掛けられた聞仲なら九竜島の四聖を出してくるかな？

今の太公望たちがどこまでやれるか気になるけど、何となく(・・・・)西岐に居た方が良いと思うんだよね。
ただの勘だけれど。

そう話すと、那穣は耳をぺたんと垂らして
【母さんの勘は(当たるから)怖い】
といった。

私だって勘が外れる事もあるよ？

『うぅん。四聖が動くなら“聞仲君の為に”とか言って、西岐を襲撃する気がするんだよね。その時を想定して、民を守れるように動くよ』

【はーい】