危機と信頼 ページ32
楊戩を探すべく辺りを見回す木吒たちの視界に入ったのは、前進を始めた崑崙山だった。
「こっ…崑崙山が前進を始めたっ!?」
金鰲島と心中するつもりか、金鰲島にはバリアがあるので自滅になる、と焦る二人だが、崑崙山にも元始砲がある。
恐らく太公望は、崑崙山の元始砲を近距離で撃つべく前進を進めたのだろう。
予想通り、近距離で元始砲を撃った崑崙山だったが、金鰲のバリアを抜けるあと一歩の所でエネルギーが切れ、敵の主砲ど真ん中で停止してしまう。
『とりあえず、楊戩の事を報告しに太公望の所へ行こう』
「そうだ！早く知らせないと!!」
それから太公望に知らせた私たちは、休むように言われたので各々身体を休める事にした。
太公望もどうやら楊戩のいる場所に予想がついたようで、金鰲島に現れた花狐貂をみてすぐさま楊戩の仕業だろうと言った。
「「天才」という言葉は好きではないが、あやつはそれ以外に言いようのないない男だからのう」
楊戩に余裕がなくなったのか、モニターに映る花狐貂が消えても、太公望は楊戩がバリアを解除することを疑いもしなかった。
「楊戩を信用しておるのじゃな太公望」
「信頼だよ公主」
その傍らで元始天尊が喜びの余り泣いているのを、白鶴が嘴でつつき、私が(前に買った、老人の使い古した
それから太公望の指示で再び金鰲島へと前進した崑崙山は、金鰲島のバリアにより崑崙山の表面が溶解しようと進み続け、バリアの解除とともに金鰲島と通天砲へと追突した。
これで５分の戦いができるだろう。
しかし崑崙山も竜吉公主もエネルギーが空になったようで、竜吉公主の顔には疲労の色が窺える。
そして太公望は金鰲島に侵入した楊戩を迎えに行くべく四不象へと乗り、指揮権を元始天尊に返した。
「私も行くよ太公望。楊戩は私の弟子…息子のようなものだからな」
『私も行くよ。私の宝貝なら怪我を治す事ができるからね』
「玉鼎…A…」
それから太乙の「蝉玉を連れて行けば案内してくれるだろう」という意見も取り入れ、金鰲島へ侵入するメンバーが太公望・四不象・玉鼎・蝉玉と私に決まった。
話を訊いた蝉玉は土行孫と一緒に行きたがったが、太公望の口車により土行孫との別行動を快く了承した。
因みに「浮気したらハニーを殺して私も死ぬ！」とは別れ際の蝉玉の言葉である。
蝉玉って、ちょっとヤンデレ気質？
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作者名：瓜栖斗 | 作成日時：2019年7月2日 22時
