魔家四将の原形 ページ22
それから道徳は、花狐貂の上にいる雷震子と哪吒を運び出すべく、黄巾力士に乗り込んで飛んで行った。
私はというと、完成した薬汁を水筒に入れている。
この水筒。
宝貝でもあり、中の液体の雑菌や汚れを消す効果があるんだよ。
なので、泥水だって入れて宝貝の機能をオンにすればあら不思議！泥が消えて綺麗な水のみが残るのさ。
宝貝の機能はさておき、黄天化用の薬汁完成！
楽しみだなぁ。
ついでに雷震子の分も「あれっ？何か飛んで来ますよ」…うん？
「あれは…」
花狐貂に居た黄飛虎が飛んでくるね。
「うお……どけどけぁぁ！！」
直ぐに下に引いていた風呂敷の四角から伸びる紐を引っ張り、荷物を纏めて空中に飛んで回避する。
「ああっ！！！」
ドギャァアン
けたたましい音を立てて落ちてきたにも拘わらず、黄飛虎は無事だった。
流石天然道士。
頑丈だね。
しかし、黄飛虎から逃げた魔礼寿によって、魔礼青にとどめを刺そうとしていた黄天化の上から花狐貂が体当たりをした為、魔礼青を倒す事は叶わなかったようだ。
黄天化は哮天犬に咥えられて、花狐貂の体当たりから免れた後、楊戩と共に地上に降りて行った。
私も荷物を纏めて、太公望たちと共に楊戩たちの降りた地点へと向かうとしよう。
「太公望どの…思うに楊戩は魔家四将をあえて殺さないように戦っていたように思えるが…？」
「楊戩はわかっておったのだ。魔家四将が“人間の形”である時に弱らせておく必要があった事に…」
『妖怪仙人は“人間の形”の時に倒されると“原形”に戻るのさ』
「うむ。おそらくは、原形に戻った時こそやつらの真の強さを発揮するであろうよ」
話をしている内に花狐貂が消え、四つ首の幻獣・
あれが魔家四将の原形だろう。
宝貝の能力を吸収している鸓は魔礼青の技を使った後、魔礼海の琵琶を響かせる。
「うわーーっ!!!」
「武吉!!」
【うるさーいっ】
『おや那穣。そこにいたのかい』
「それどころじゃないだろう！楊戩、早くせいっ!!!」
頭が痛いと言う武吉を支えながら、太公望が楊戩に言うと同時に、楊戩が三尖刀で鸓を斬った。
すると鸓は、自らの体から流れ出た体液で地面を腐らせながら、恨みの籠った念を流す。
太公望は楊戩にとどめをさすように言うけど、生憎と楊戩の三尖刀では届かない。
それに楊戩の性格上、哮天犬をぶつける事も厭と言うだろう。
予想は当たり、最後は太公望の打神鞭により、魔家四将との戦いは幕を閉じた。
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作者名：瓜栖斗 | 作成日時：2019年7月2日 22時
