呼び出し ページ3
本格的に活動を始めてから、二千余りの年が流れた。
大元は異世界の存在、此方では妖精や妖怪に分類される私だが、今は崑崙山で生活をしている。
元始天尊は差別をよしとしない御人で、崑崙山には妖精や妖怪仙人と呼ばれる存在も住んでいた。
そんな妖精や妖怪を元とする者に変化の術を教えたり、
「――さん。Aさん」
『おや、白鶴君。私の部屋に来るなんて、珍しいね』
崑崙山の私の部屋に白鶴が訪れる事は滅多にない事だ。
前に来たのは確か、二百四年前だったな。
「元始天尊様がお呼びです」
…面倒だな。
『今、実験中なのだけど…』
「いや、寝てましたよね？」
仕方がない、行くとするか。
簡単に身支度を済ませて、元始天尊の居る部屋に行くと、彼から“封神計画”が始まった事を告げられた。
「そこでだ。お主の力で『しないよ』…むう、せめて言い終えてから判断してくれぬかのぅ」
『あぁ、でも、望君…太公望の様子を見たいから、地上に降りるね』
「…宣言をするだけマシか」
実をいうと、私は身勝手な行動が目に余る為に、実力はあるが問題児だと言われている。
その甲斐あって、弟子は一人。
その弟子は既に一人前になって自分の弟子を見ているので、今見ている弟子はいない。
なので、私が気紛れに旅をしても、森で遭難していても、困る者は元始天尊くらいである。
『それでは行ってきます』
呆れる元始天尊と白鶴君にそう告げて、私は
『那穣ぁ、地上に行くけどどうするー？』
そう声をかけると、部屋の奥から子狐に似た霊獣が、空中に浮かぶ宝貝の珠に乗って出てきた。
私が霊珠を与えて生まれた宝貝霊獣の那穣だ。
【行く】
彼はまだ人間の言葉を発せないので、頭に響かせるテレパシーで意思疎通をする。
【どこ行くの？】
『行き先は――』
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作者名：瓜栖斗 | 作成日時：2019年7月2日 22時
