【ＫＺ】記憶は知っている＃２

#57：秘密 ページ11

若武side



『たまたま全員予定が空いていた』なんて







嘘だ。



無理矢理予定を開けた。



俺は元々英語の講習があったけどキャンセルした。



きっと、他の奴等も何かしら予定があったに違いない。



でも、俺達はアーヤの所へ赴いた。



なぜって。







『アーヤのタイムミリットが少なくなってきたから』だ。



何かあったときの為に、俺は光さんの連絡先をもっているんだけど、



何日か前に連絡をもらった。



最近アーヤの記憶力が大幅に低下している、とのことだった。



もう、駄目だと思った。



俺は決めた筈なんだ。



何があろうとずっとアーヤの傍にいる、って。



でも、



でも。



これから、記憶をなくしていくアーヤを身近で見ていられるのだろうか。



俺は、それに耐えられるのだろうか。



頭の中がいっぱいで、どうにも出来なかった。







そして、連絡をもらった次の日。



また光さんからメッセージが来ていた。



昨日の今日だったから、見るのには時間がかかった。



意を決して見てみると『アーヤと思い出作りをしてほしい』と書いてあった。



思い出、か。



今まで沢山の事件を解決してきたことも思い出。



沢山喧嘩してきたのも思い出。



アーヤは、覚えてんのかな。



急に辛くなってきたので、簡潔に返事をして、ベッドに潜り込んだ。



リーダーのくせに、









俺は弱いやつだ。

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