1話 ページ1
４月７日。
目覚まし時計の音で目が覚めた。
見慣れない部屋の景色に少し驚いたが、２日前に引っ越してきた事を思いだし、安心する。
ベッドから体を起こし、体を伸ばしてからさっと布団を整える。
母 ｢おはよう、A。｣
A 『おはよう、お母さん。』
階段を降りていくと、コーヒーの香りと共に、お母さんの声が聞こえた。
朝ご飯を食べながら、お母さんと会話をする。
母 ｢高校は緊張する？｣
A ｢いや。そんなことも無いかも。｣
本当はとても緊張している。いや、緊張というよりも不安なのかもしれない。今日から私は、南高校の１年生なのだ。父の都合で県外から引っ越してきた為、知り合いが誰もいない。今日は、入学式。運が良かったのか、高校の入学とぴったり重なったのだ。なので、少し安心することが出来た。不安なのは変わりないが。
それを察したのか、お母さんはふふっと笑った。
母 ｢まぁとにかく、高校生活、後悔の無いようにね。３年間楽しむのよ!｣
ふっと笑いかけてくれるお母さんの笑顔が硬くなった私の心を少し柔らかくしてくれたような気がした。
A 『うん。ありがとう。』
そんな会話をしている内に、朝ご飯を食べ終えた。
二階の階段を上り部屋に戻ってから私は、灰色の綺麗な制服に腕を通した。暗くもなく、明るくもない、ちょうど良い色の制服は、私好みでとても気に入った。
家を出る前に、髪と制服が乱れていないか確認をしていると、お母さんが話しかけてきた。
母 ｢時間、大丈夫？初めてだし、少し余裕をもって学校行った方が良いと思うけど。｣
A 『うん。もう行くよ。お母さんは大丈夫？』
母 ｢ええ。大丈夫よ。ごめんなさいね。帰り一緒に帰れなくて。｣
A 『だいじょーぶ。仕事だし。頑張ってね。』
そう言うとお母さんは、安心したように笑ってくれた。
母 「さ、行きましょ!」
A 『うん!』
そう言って私は、玄関のドアを開けた。
初めて歩く通学路は、新鮮で、不安しかなかった私の心は、すごくドキドキしていた。
新しい友達、沢山出来たらいいな。
そんなことも考えながらお母さんと通学路を歩いていると、いつの間にか、周りにも同じ制服を着た人が沢山いた。
その時、一人の男子生徒とすれ違った。学校は反対方向なのに。などと思っていたが、数十秒後には忘れていた。
この人がこれからの高校生活に大きく関係しているなんて知りもしないまま………
--何度も訂正すみません
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作者名：あずき餅 | 作成日時：2019年1月27日 18時
