痙攣 ページ8
「風の───ッ!?」
技をだそうとした時、ドォン!!と雷にでも打たれたような衝撃波が身体を襲った。
「っ!───!!」
苦しい。
体が痙攣して思うように手足が動かせない。
「あ゛ぁっ!」
息が、出来ない。
ドンッと大きな音がして、辛うじてそちらに視線を向けると伊之助くんと善逸くんが無惨に立ち向かっていた。
彼等は生きていた。
私も早く加勢しなきゃ………
けれど、どれだけ耐えても痙攣が収まらない。
腕を動かして起き上がろうとするけれど、力が上手く入らない。
「っ!」
息が持たない。
苦しくて涙が溢れてくる。
痛みに耐えるようにぎゅっと隊服の胸の辺りを掴んだ。
視界がだんだん狭く暗くなる。
「───!A!」
聞き慣れた声が私を呼んでいる。
「…ぅぐ、ぅっ───!」
返事をしたいのに上手く出来ない。
「クソッ!どうなってやがる!!」
私の視界に現れた師範は私をバッと抱え上げる。
サッと建物の陰に運ぶと私を抱えたまま座り込んだ。
「不死川!」
伊黒さんの声がして、二人が何か話している。
「A!ちっと我慢しろ!!」
そっと寝かされると、師範が私の二の腕の辺りを固定した。
そして刀を縦に構える。
刃先がこちらを向いているのを見て、ヒュッと喉が鳴った。
「っ!?…ぃ、ゃ………ぁ!!」
何が始まるのか、恐怖で頭の中が真っ白になる。
「大丈夫だァ!信じろォ!!」
「っ!」
激しい戦闘で頭から血を流したままの彼が、真剣な目で私を見ていた。
痙攣する体でそれに何とか頷くと、私はぎゅっと目を瞑る。
少しして、腕が焼けるような痛みが私を襲う。
「いっ!!!!………っ、ん゛んんっ!!!」
痛い。
けれど、次第に呼吸が楽になってきて、痙攣も収まっていく。
漸く楽に息が出来るようになって「はぁ、はぁっ」と息を切らせば、ゆっくり刀が引き抜かれた。
「っ!!」
思わず顔を歪める。
「頑張ったなァ」
そんな声と共にそっと頭を撫でられた。
先程までの焦った彼の表情はそこになくて、安心した柔らかい表情で私を見ていた。
「…し、……はん…」
彼とまた会えたことが嬉しくて、震える手を伸ばそうとすると掴んで戻される。
「無理すんなァ。休んどけェ」
優しい声だった。
「Aを頼む」
いつの間にか傍に待機していた隠に告げると、「はいっ!」という返事を聞いて、師範が立ち上がる。
そして、彼は戦いの前線に向かって駆け出して行った。
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時