平和な日々 ページ14
「じゃあ、陽翔と陽葵はどうかな？」
お舘様の言葉に私たちの間に座る二人に視線を移す。
その場にいた全員の視線を集めたことで陽葵は恥ずかしくなったのか、顔を隠すように私の腕にしがみつく。
「僕、Aと実弥とずっと四人一緒がいい！」
陽翔が元気よく宣言すると陽葵も遠慮がちに声を絞り出す。
「ひなちゃんも、いっしょがいい。…もう、はなれるのいや」
ぎゅうっとしがみつく腕に力が込められる。
「決まりだね」
＊＊＊＊＊
産屋敷邸を後にした私たちは蝶屋敷を尋ねた。
炭治郎くんが明日には静養を終えて、禰豆子ちゃんや善逸くん、伊之助くんを連れて故郷に帰るらしい。
その前に一度会っておこうと言うわけだ。
実弥さんは気まずいらしく、廊下で待っていると言うので、三人で炭治郎くんの部屋に向かう。
室内に入るとそこは既に人で溢れ返っていた。
禰豆子ちゃん、善逸くん、伊之助くんはもちろんのこと宇髄さんとそのお嫁さんたち、千寿郎くんとそのお父さんと色々な人がお見舞いに来ていた。
私たちにいち早く気付いた須磨さんは陽葵に抱き付くし、陽翔は伊之助くんに肩車をせがんだ。
「あの！Aさん、色々とありがとうございました！」
禰豆子ちゃんが私に気付くと傍に来てぺこりと頭を下げる。
「お兄ちゃんから聞きました！色々助けて頂いたみたいで。…といっても、断片的にしか覚えていないんですけど」
人間に戻った彼女が「えへへ」と笑うその姿は可愛らしい年頃の女の子そのものだ。
「そんなことないよ。私の方こそ禰豆子ちゃんには助けられたし」
那田蜘蛛山で初めてあったとき、下弦の伍との戦いで、彼女が私たちの前に飛び出してくれていなかったらどうなっていたか分からない。
「それに陽翔と陽葵とも沢山遊んでくれたしね。本当にありがとう」
笑いかけると、人の間を縫って陽葵が走ってくる。
「ねずこーっ！」
「あっ！陽葵ちゃん！！」
ばっと勢いよく禰豆子ちゃんに抱き付く陽葵。
禰豆子ちゃんが嬉しそうに抱き締め返す。
「ねずこ！あぼう！！」
きゃっきゃっと嬉しそうな陽葵。
そして、先ほどまで陽葵に抱き付いていた須磨さんが「陽葵ちゃん！私は！？」と騒いでいる。
その光景がどこか懐かしくて、思わず笑みが溢れる。
鬼がいない、平和な世界が来たことをひしひしと実感した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 294人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました！キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました！！ (2021年8月28日 23時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ﾉωﾉ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます！実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります！ 最後まで読んで頂き、ありがとうございました！ (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした！完結おめでとうございます！実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます！最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非！ 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります！ (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2021年7月31日 19時
