よりによって ページ23
「実弥さん！」
慌てて声をかけたとき、「待った！待った！待ったァ！！」と私の背後から声がした。
「っ、きゃ！？」
後ろは柵があったので、まさか人の声がするとは思っていなくて、私は飛び退いた。
バッと出てきたその人は炭治郎くんだった。
実弥さんと冨岡さんを止める為に、私の他に誰か居てくれるのは心強いけれど………
よ、よりによって炭治郎くん！！
彼は実弥さんと接近禁止になっているし、私は彼のお陰で実弥さんから炭治郎くんと私が恋仲だと思われたのだ。
さぁぁぁっと、頭から血の気が引いていくような気がした。
「ちょっと、待ってください！いけませんよ！」
けれど、何も知らない炭治郎くんは実弥さんと冨岡さんの間に割って入る。
炭治郎くんの純粋な真面目さと真っ直ぐさが今は恐ろしい。
「うるせェんだよ。テメェは接近禁止だろうがァ。さっきから盗み見しやがって」
ギロリと実弥さんが炭治郎くんを鋭い目で睨んだ。
“さっきから”と言うことは炭治郎くんはかなり前から、二人の柱稽古を見ていたことになる。
私、全く気が付かなかった………
『人間相手にも感覚研ぎ澄ませとけェ』
以前、宇髄さんに遊郭へ連れていかれそうになって、捕まえられた時に実弥さんから言われた言葉だった。
私はまだまだ稽古不足のようだ。
「おはぎの取り合いですか？もしそうなら俺が腹一杯になるまで作りますから…」
炭治郎くんの言葉に実弥さんの表情が引きつる。
「ふざけてやがるなァ」
ますます機嫌が悪くなったのを見て炭治郎くんが慌てる。
「えっ？いやいや、真面目です！！不死川さんおはぎ大好きでふよね？」
その言葉にピクッと実弥さんの肩が揺れる。
「不死川さんちで稽古付けてもらっていた時、ずっと仄かに餅米とあんこの匂いしてたし、おはぎのいい香りがしてたので…。てっきり…」
そう言えば、あの日は陽翔と陽葵のお菓子におはぎを選んだので、実弥さんにも休憩用にってこっそり用意していたんだった。
それに、実弥さんがおはぎが好きなので、我が家のお菓子はおはぎの登場が多い。
匂いに敏感だという炭治郎くんの鋭さに、思わず瞬きをする。
まさか、それだけで実弥さんの好物がおはぎだと見抜いてしまうなんて………
私は堪えきれずに吹き出して、くすくすと笑ってしまう。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます！お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね！最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ！！頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます！ (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします！ (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね！もう、ね！(*´･ｖ･｀)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております！！ (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます！小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな？と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年6月18日 5時
