風柱と水柱の戦い ページ22
柱稽古の為に、竹林に囲まれた場所で木刀片手に向かい合った二人の柱。
実弥さんは物凄く機嫌が悪くて殺気だっているのに対して、冨岡さんは無表情のままだ。
けれど、二人からは何とも言えない圧力の様なものを感じた。
私は庭の端でその光景を眺めながら思わず息をのむ。
「風の呼吸 壱ノ型 塵旋風・削ぎ」
最初に動いたのは実弥さんだった。
力強く前へ駆け込んで、螺旋状に回転している暴風で地面を削りながら冨岡さんに突っ込んでいく。
その威力を木刀で受け流すと、冨岡さんも実弥さんに攻撃を仕掛けた。
風の呼吸と水の呼吸がぶつかり合う激しい戦いだ。
流石は柱同士。
動きが早い。
「オラオラァ!どうしたァ!!テメェは俺たちとは違うんじゃねぇのかよォ!!」
実弥さんが好戦的な目で富岡さんを煽る。
“俺たちとは違う”って何のことだろう?
私が疑問に思っている間も戦いは続く。
「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
冨岡さんの刀が実弥さんの足を捉えたけれど、実弥さんは華麗な動きでそれをかわした。
「遅ェんだよォ!!」
叫んだ実弥さんが富岡さんの背後を取る。
「風の呼吸 伍ノ型───」
「水の呼吸 漆ノ型───」
二人が同時に呼吸を使う姿に、目を奪われる。
「─木枯らし颪」
「─雫波紋突き」
空中から冨岡さんに向かって強力な旋風の斬撃を繰り出した実弥さんと、対して下から強力突き技を繰り出した冨岡さん。
柱同士の技がぶつかった風圧が、砂埃と一緒に此方まで飛んで来て思わず目を瞑る。
バキッと何かが割れた音がして、目を開くと二人の木刀が根本から折れていた。
引き分け…
緊張が解けて、ふぅっと息を付く。
今日の柱稽古はこれで終わり。
早いところ実弥さんを冨岡さんから引き離して、蝶屋敷に向かおう。
そう思って一歩踏み出した。
「よォし、じゃあ次は素手でやり合うかァ」
そんな実弥さんの言葉に私は「え?」と足を止める。
まさか、まだ続けるつもり?
「冨岡ァ。…お前、いつの間にAと仲良くなったんだァ?」
しかも、何故か私と冨岡さんが仲が良いことになっている。
手を組んでボキボキと骨を鳴らす実弥さん。
まずい………
別に冨岡さんと私は仲が悪いわけでもないけれど、何だか変な誤解が生まれている気がする………
この前の炭治郎くんの時みたいになると、私では彼を止められない。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます!お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね!最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ!!頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます! (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします! (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね!もう、ね!(*´・v・`)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております!! (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます!小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな?と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年6月18日 5時