水柱と風柱 ページ9
じぃっと、水柱様の視線が私に刺さっている。
どうしよう…と焦り始めていると向こうから話しかけてきた。
「…二人は稀血の子どもだろう?」
「は、はいっ!そうです!」
「お兄さんはどういう人?」
不思議そうに首を傾げる陽翔。
煉獄さんのことは、派手な髪色でなんとなく覚えていたみたいだけれど、流石に半年前なので忘れているようだ。
「水柱様だよ。私と初めてあった日にお庭で二人も会ったことあるんだよ?」
「お兄さんあそこにいたの?」
「あぁ」
「お兄さんはさねみと仲悪い?」
唐突に陽翔がそんな事を言うから私は慌てる。
窘めようとした時、水柱様が陽翔に尋ねた。
「………何故そう思う」
「だってさねみ、Aに『行くなー!』って怒ってた」
「ちょっと!陽翔!」
余計なことを言われてしまった。
「すみません、水柱様!気にしないでください」
申し訳なくて体を縮めて頭を下げる。
「畏まる必要はない。………それに、俺は水柱じゃない」
「え?」
ぽかんと顔を上げて目を丸くする。
水柱じゃない……?
何を言っているんだこの人は…
「冨岡義勇だ」
何故か突然名乗りだす水柱様。
あぁ、そういう意味かと納得する。
「分かりました。冨岡さんとお呼びしますね」
「………あぁ」
そこからまた少し会話が続いて、陽葵が冨岡さんに馴れてきた頃、私たちは屋敷を後にした。
*****
「只今戻りました」
風柱邸に着いて玄関で声をかける。
「遅かったなァ」
廊下から声がして実弥さんが顔を覗かせた。
「え?そうですか?」
まだ日は暮れていない。
そんなに水柱邸へ行ったこと気にしているのか………
「さねみただいまー!」
陽翔と陽葵は履き物を脱ぐと実弥さんの元へ駆け出していく。
「さねみはぎゆうのこと嫌い?」
「あ…?」
「…!」
陽翔が水柱邸で冨岡さんにしていたのとは逆の質問をしだした。
「ぎゆうはね、さねみと仲良くしたいって」
実弥さんが不機嫌そうに目を細める。
「下らねェこと言う暇があったら、手ェ洗ってこい!」
「はぁい」
ぱたぱたと歩いて陽翔と陽葵が奥へ入っていく。
「………私が水柱邸に行ったこと、まだ怒ってます?」
確かめるように口にすると、不機嫌な顔が向けられる。
「分かってんなら、いちいち聞くんじゃねェ」
やっぱりか…
どうにかして冨岡さんと仲良くさせてあげたいけれど、これは実弥さんの問題だ。
だから、私はそれ以上何も言わずに口を噤んだ。
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月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります!のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです!更新嬉しかったです!今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました!ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます!(*´ω`*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月8日 17時