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寝顔と枕 ページ47

つんっ、と何かに足を蹴られた気がした。


「ん…」

重たい瞼を持ち上げると辺りはほんのり明かるくて、目の前に布団にくるまって眠る陽葵の姿がある。

「んん……?」

見える景色からして私も横向けになって眠っているようだ。

不思議に思って寝返りを打って仰向けになると、天井と一緒に視界の隅に実弥さんの顔が見えた。


「…。」

寝起きでまだ回っていない思考のまま彼を眺める。

見上げる実弥さんの顔は目を閉じていて綺麗な寝顔だった。


ふと彼の長い睫毛が持ち上がって、目を開くと組んでいた両手をぐっとあげて上半身を伸ばした。

そして私の視線に気付いたらしく、視線を下げた彼と目が合う。


「…目ェ覚めたかァ」

「えっと、………おはようございます?」

「あァ、はよ」と言いながら彼の手が私の額に触れる。


「…熱はもうねェようだな」

ふっと笑うその姿にどきっと胸が鳴る。

そうして漸く頭が状況を理解し始めた。


私、もしかして実弥さんに膝枕されてる!?


「っ!す、すみません!直ぐ退きます!!」

ガバッと起き上がろうとすると、ぐっと肩を捕まれる。

「怪我してんだぞ。ゆっくり起きろォ」

「ぁ、…はい」

言われた通りゆっくり起き上がる。

私の足元には豪快な寝相の陽翔がいた。
おそらく私の足を蹴ったのは陽翔だろう。


それにしても、私は何故実弥さんの膝の上で?
と不思議に思ったけれど、私の体には丁寧に掛け布団が掛けられていた。


「…もしかして、これ実弥さんが?」

後ろを振り返って彼を見る。

「風邪かも知れねェのに、陽葵一人が布団で丸まってたからなァ」

「風邪じゃないですよ。…陽翔に掛けてあげて下さい」

自分に掛けられていた布団を陽翔に掛けてやる。

「んなもん、わかんねェだろ。…ところで体は大丈夫かァ?痛いところとかねェか?」

聞かれてまた実弥さんの方を向く。


「……そうですね、少し頭と背中がズキズキしますけど、大丈夫だと思います」

「んだそれ。…お前やっぱり休んでろ。飯食ったら蝶屋敷行くぞォ」

立ち上がった実弥さんが台所へ向かう。

「朝餉の支度なら私やりますよ。蝶屋敷も一人で行けますから」

私も立ち上がって彼の後を追うと、気付いた彼が振り返った。


「あ?お前、じっとしてろォ」

「大丈夫です。実弥さんこそ疲れているでしょうし、休んで下さい」

お互いむっと顔を合わせる。

暫くして諦めたのか彼がため息をついた。


「仕方ねェ。二人でさっさと終わらせんぞォ」

安静に→←安心



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります!のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです!更新嬉しかったです!今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました!ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます!(*´ω`*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月8日 17時

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