２ ： ○○ × ヤンデレ ＝

ヘタレ×幼馴染×神格化＝ ページ20

： ルキ ：



彼女は昔からおれを助けてくれていた。
ドジをすればフォローしてくれたし、失敗をして落ち込んでいれば慰めてくれた。
怖がれば傍にいてくれて、安心できるようにと手を繋いでくれた。
“情けない男”、そんな言葉がピッタリなおれに対して、彼女はいつも優しく接してくれた。
ふんわりと優しい笑顔を浮かべながら。
まるで女神のように輝くそれを、おれは何度向けてもらえたことだろう。
それが向けられるたびに、おれは彼女という存在に溺れ、同時に彼女から生きるための意味を与えられてきた。

おれにとって彼女は生きる意味であり、生かせてくれる存在であり、全てなんだ。

そんな彼女に対して恋愛感情を抱くだなんて、あまりにもおこがましい。
彼女がここに存在している。ましてや、おれに話しかけ、笑みを向け、おれの言葉に反応してくれる。
そして


「今日も一日お疲れ様」


日常の一つとして、君の隣を歩いて登下校をさせてもらう。


「大丈夫?今日は体育もあったしいつもより疲れたよね?」
「あっ、鞄、持つよ。貸して?」


君の物に触れさせてもらう。
君の一番近い場所にいさせてもらえている。
これ以上、他に何を望めるだろう?
今この状況だけでも、おれには勿体ないくらいなのに。


「部屋の掃除?」


君は少しうんざりしたような顔をして、小さく溜息を吐いた。
おれが聞き返してしまうと、君は頷いて、部屋に物が増えてきたからと理由を言う。
その顔にやる気は感じられず、その行動を面倒くさいと思っているように見える。


「ねえ、もし良かったら、おれに手伝わせてくれない、かな」


遠慮がちにそう聞くと、君はおれを見上げた。
真っ直ぐなその視線が自分に注がれていると思うだけで、体と心と頭の中が甘いもので満たされていくようだ。


「…おれ、そういうの好きなんだ。何かを整理したりするの」
「……それに、一人でやるよりも二人のほうが早く終わるし、会話もできるから少しは楽しいかなって」
「あっ、その、迷惑じゃなけれ、ば…だけど」


言い終えて気付く。
なんてことを言ってるんだろうと。
彼女の貴重な時間を、おれと共有してほしいと言っている。
彼女の部屋に、入れてほしいと言っている。
彼女と二人きりの時間を、過ごしたいと言っている。
おれはもしかして、出過ぎたことを言っているのではないか?
いくら彼女のために何かしてあげたいなどと思っても、それが迷惑になってしまえば元も子もない。

…ああ、でも

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