天火―…太陽(ｼﾘｱｽ)((紅葉様リク) ページ20
外伝ﾈﾀﾊﾞﾚ注意
――
「空が晴れた」
いつもより、いくつか低いトーンで聞こえた声
縁側に座っている私の真正面に、車いすで座っている天火は
ぎこちない笑みを浮かべていた
「だねぇ」
「だけどなんでだろうなぁ」
適当に返事を返す
それでも天火はツッコむこともせずに続けた
「喜ばしい事のはず、なんだけど」
「…」
「俺の気分はどうにも晴れねえや」
無理して笑う姿は
どうにも天火に似合うものではない
「へえ」
「…今更の後悔だけどよ」
「ふぅん」
「…ちゃんと聞いてんのか?」
「聞いてますともー」
適当な返事に、いよいよ天火が口を挟んだ
「…他所向いてんじゃねえか」
「天火のそんな笑顔は見たくない」
空を見上げたり、地面に咲いている花を見たりと
天火に目もくれない
「今、こんな笑顔しかできねえんだわ」
「…そう言う事じゃない、無理してるって感じがしすぎなんだよ」
「…そう見えるかぁ」
「天火に嘘は似合わない、馬鹿正直が一番だ」
「…そう言われてもなぁ」
「無理って、体に毒だよ」
「…お前は」
ふと、天火の声が震えた気がして
思わずそちらを向く
「…何で俺と一緒に居るんだ」
「…」
「自分では、何にもできねえ俺と。
笑顔しかできねえ、最近なんて弱音ばっかで――」
…どれだけ、自虐的な発言は続くのだろう
失礼だけど、半ば聞き逃す
「…曇だった時に、俺は皆の太陽って言われた。…今はどうだ、太陽でも何でもねえ」
「質問」
いきなり口を開いた私にきょとんとする天火
「太陽はずっと見えているでしょうか、ずっと空にいるでしょうか」
空を指さしながら言うと
天火は質問に答えることなく
疑問だけを顔にはり付けた
「答えは、いいえ。夜は太陽が沈んでいるとき。いこーる…太陽はずっと空にいない」
「…それくらい…」
「てことは?」
「は…?」
座り直して、天火を真正面に
はにかむ
「天火が太陽ならバッチリ条件あってるねぇ、太陽だっていつかは沈むんだよ。そんで」
天火に近づいて、彼の大きな手を私の両手で包む
「いつかは昇るから」
「…」
「天火にそっくりじゃん?」
「…かもな」
「昇ったときに、周りを明るくすればいいさ
あと天火の質問の答えだけど」
「…？」
「一緒に居るのは好きだからだよ、それ以外に理由なんてなーし」
はにかむと、同じように天火の頬が緩んだ。
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エミ(プロフ) - たくさん読みました！面白かったです(・ω・)ノ (2015年3月16日 23時) (
レス) id: 9a6f0ed4b4 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ありがとうございます。蒼世はもともと書くつもりでしたので書かせていただきます。それから雰囲気指定ですが、申し訳ありませんがご希望に添えることができないかもしれません。ご了承ください (2014年12月25日 12時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
らむ - 蒼世お願いします！甘い感じで！お願いします。 (2014年12月25日 1時) (レス) id: f18e22de4d (このIDを非表示/違反報告)
セルア - 執事リクいいですか。蒼世さんお願いします。 (2014年12月25日 0時) (レス) id: 6a6b4242bf (このIDを非表示/違反報告)
ねゐ(プロフ) - るなさんと同じく芦屋様でおねがいします！ (2014年12月24日 22時) (レス) id: edd6dabf66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：不雲綺
| 作成日時：2014年12月9日 23時
