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…8… ページ10

「ふ、んんー」



ぐうっと伸びをすると、大きなため息が口から漏れた

曇天の空に、手を伸ばしてみるとピトと水滴が落ちた


…予想通り


けれど屋根から降りることなくそこでゴロゴロする


…あ、でも次男に言わなくては。


そう思う事があったので、むくりと体を起こし下を覗くこともせずに叫ぶ。



「じなーん!!雨が降り始めたー」


「えっ、雨!?」


「洗濯物は大丈夫か」



外に出てきた次男を上から見る

次男は、こちらのいる場所に気付いているのか?

なんかキョロキョロしてる…。



「げっ、本当だ…急いで中に入れねえと」


「おいらも手伝うっスー!!」


「お前は大人しくしてろ!!落として汚したらどうすんだ!!」


「よっしゃ宙太郎!!お兄様と稽古だ!」


「あい!!」


「雨降り始めてんの分かって言ってんのか兄貴ィッ!!!」


「ほらほら、早くしないと濡れてしまうよ。俺も手伝うから」


「…」



そんな曇たちの様子を見ていると笑みが浮かぶ。

楽しそうだなぁ

騒がしくてもこの雰囲気は好きだ



「…む」



いよいよ本降りになってきた…。

もう少しかかると思ったんだが

まぁいいや



「ふぁあ…」



欠伸をすると、次男の怒声のようなモノが聞こえた。



「A!風邪引くぞ、降りてこい!!」


「いや、だいじょ――」


「大丈夫じゃない!降りてこねえと晩飯抜きだぞ!!」


「う゛…」



それはキツイ。

次男の飯はうまいのだ、食べたい…。



「い、今降りる」


「よし」



勝ったと言わんばかりにガッツポーズされた…。

ふ、複雑!



「…ふ、くしょッ…んぅ」


「あーもー、本降りになっても屋根の上にいるかr――びしょ濡れじゃねえか!」



玄関から入ると、台所にいた次男がこちらの格好に驚いた。

確かに、びしょびしょだ。



「このままじゃ風邪引くね。今拭くもの持ってくるから、そこで待ってな」



昨日の警戒が嘘のよう。

白子はこちらに優しく声をかけた

別に何を考えるでもなく、ぼうっとしていたら



「ほら、緑茶。温かいの入れたから」


「…悪いな、次男」


「…風邪引くよりはいいだろ」



そう笑う次男を見ていると、白子が後ろからぐしゃっと髪の毛に触れた

…タオルで拭いてくれているようだ



「…中々にいいな…」


「それはどうも」



気持ちがいい、と思わず目を細める


…人がいるっていいもんだなぁ


改めてそう思った。

…9…→←…7…



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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