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…4… ページ6

「…」



その揺れた場所を、何を思うでもなく見つめる。

そして、あっ、と声をもらして



「白子…、そんなところで何してる?」



忘れていたなんて言えないが、名前を思い出してその名前を呼ぶ。

すると白子はこちらを警戒したような顔で出てきた



「いや、何処に行くかなって」



いつもの困ったような笑顔を見せると

おろした髪をあげた


白子の質問に、少し悩み



「…山?」



首を傾げながら答えた。

勿論、相手も困っているようす



「…こっちが聞きたいんだけど…」


「そうだ、白子。お前も来い。綺麗だ」


「…え、ちょ」



ふと思いついたことを言う事はなく、無理やりに白子の手を引いた

まだ警戒しているようで、身体が強張っている

それに心拍数も少し早いな



「…あ、だけど空丸に出かけると言っていない。どうしよ」


「…単に忘れてただけ…」



白子が警戒している理由も分かる

いきなり妖狐が来て、一緒に暮らしますなんて言うんだ

変な奴だと必ずおもだろう

それに曇たちの事を知っているのだから


しかも今はコッソリあそこを出てきた。



「お前の考えることはだだ漏れ」



ふっと笑い、白子のでこに人差し指を当てた

…でもやはり、白子は警戒するのをやめない

別に、警戒を解こうとしたわけじゃないし、いいや



「白子、綺麗なモンを見るには少し時間が早い。暗くなってからこよう」


「…まさか、夜にまた出るのか」


「ああ」



今度は来た道を、白子の手を引きながら歩く

色々と変わっていくこちらに、少し混乱しているよう

だがそんな事を気にする自分ではない



「曇天を抜ければ、綺麗なものが見えるんだ。そうだ、皆連れて行こう。
疲れるかもしれんがアレを見たらそれさえも吹っ飛ぶはずだ」


「…夜空のことを言うのか?」



その一言で、足が止まる。

そして少し驚きながら、白子に問う。



「…言ってなかった、か?」



よほど間抜けな面をしていたのだろうか。

一瞬だけ白子の警戒が緩くなった。



「一言も」


「…白子は賛成か?今すぐに神社を出ればちょうどいい時間に夜空を見上げられる」


「山は危険だろ、それに時間も時間だ」


「…見たいか見たくないか。それだけだ」



先程よりハキハキとした声でそういうと

今度は白子がほんの少し間抜けな顔をした。



「それ以外の事は心配いらない。すべてこちらに任せればいい」

…5…→←…3…



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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