マイペース妖狐と曇兄弟の生活。

…３…３ ページ35

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「…は…っ…はー…はぁ……っ」



人間たちが、死んだだろうと言い残し去って行って数時間

もしかしたら一日二日たっているかもしれない

何とか息をしてその場に血まみれの状態で横たわっていた

…


こんなに苦しいなら、死んでしまいたいものだ


と、大切な一つの命を軽々と消すようなことを思いながら

起き上がれずに、指が勝手に震えるのを見つめていた。

どうしようか


…この場所には

死体に近い生き物と

燃やされた家だったゴミしか残っていない


起き上がろうとも、体動かないし

呼吸するだけで、体は痛む

体の震えは、指の先を見ればわかるとおり

一向に収まらない


何処で何を間違えたんだろうか


そう自分に問いかけて、くす、と笑う

何処も何も

…この姿になったところで、道を外したんだ

人でない時点で、もうこうなる事はほぼ確定したようなモノだろう

…嫌われ、独りになる方が良かったな。なんて


目線の先にある血まみれで、怪我と火傷だらけでとても醜い

きっと足も体もそうだろう

顔もそうだ。

…醜いはずだ


決して、自分が綺麗な容姿だとは思っていない

けれど、醜さが生まれるのは

醜さが増すのは、自分で恐怖だと感じた


その醜い姿を見て、見下して言った人間の目も恐怖だ。


その恐怖に、心の中で何度も唱える

傷が消えろと

消えろ消えろと何度も何度も何度も

同じ言葉を憑りつかれたかのように心の中で唱えた。



傷が完璧に消えるまで


耳と尻尾に付いた灰や血が完璧に消えるまで


頭がおかしいんじゃないかってくらいに。



動くと痛む体を半分起き上がらせて、地面に何度も頭をぶつ


いっその事、記憶も消えてしまえと

何もかも消えてしまえとそう唱えた


体が悲鳴を上げても続けた


今はそれしかできなかった

心の中で願って、どうにもならない感情をぶつけた。




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「おぉ、なんだ、こんなところに」



それから何年。


土砂降りの日に、変な服着てる男が来た

和服…ではなさそうだ

ああ、そうか最近は仕事でこんな服着ている奴もいるのか



「…怖くないのか」


「人間じゃねぇことがか?」


「…」



頷くと、その男は傘をさしながらしゃがんだ



「無害っぽいしな。俺は平気だ。それより」



そう言って懐からだしたのはおにぎり。



「食うか」



…これが曇大湖。

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