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…2…9 ページ31

「全くだ。…そうだ、少しは休んできたらどうだ」


「…そうします」


「比良裏たちの相手は任せておけ」



にこっと縄を持って安心しろと言った。

それに牡丹はいつも通り、苦笑いをした

佐々木も苦笑い



「ゆっくり休んでくれ」



しかし、注意をすることなく

牡丹にそう一言言った。

…そこで比良裏が邪魔をする



「牡丹!!」



次に何を言おうとしたのかは不明だが



「牡丹を休ませてやれ」



縄を持って柱に縛り付けた

そこに景光が駆け寄る



「兄さんは懲りんな」


「景光、手合せ願う」


「ほんで、Aは唐突やな…」



こんな風に

独りぼっちの生活から、楽しい生活に一変したのだが



気付く


自分は妖狐だと。


他の皆は時の流れに沿って成長していくのに

自分だけは逆らって成長しない


置いてかれている


いつか自分を置いて彼らは消えてしまうのだろう。

また独りぼっちに戻る

…それに、今のこの幸せを感じてしまっている

だから

一人になったときの苦はとてつもないものだろう。


もしかしたら、

彼らにも、気を遣わせてしまうのではないだろうか

時の流れ方が違うために

必要のない気づかいを生んでしまうのではないのか


それに気付いてから


楽しかったはずの生活はまたまた一変



「…A殿…?」


「どうした、牡丹」


「いえ、何やら難しい顔をしていらしたので」



仲が良くなるほど

優しさを感じるほど、苦しみが増した。



「A!!今日は鍋や!!」


「なべ…」


「鍋も知らんのか…。美味しいで、Aも気にいるわ!!」



最初のうちは耐えられた。

どうせまた楽しい日々に戻るだろうと



「A−、牡丹見てねえ?」


「牡丹が可哀想だ」


「どういう事だ」



そう感じていたのだが



「…今日も難しい顔だな」


「佐々木…」


「何かあるのか」


「…ない。腹が減った」



限界が来た


今、離れておかなければ自分が苦しくなると

自分で自分を追いやった。


いつかの満月の夜

全員が寝た後、ゆっくり神社を出て、そのまま山の方へと駆けた


その時、泣いていたのだろうか

景色が良く見えず、胸の変に何か変な感じがした

それを振り払うように、走った



「は…っぁ」



数時間ほど走ったのちに

太陽が顔を出し始めた。


そこで、小さな小屋まで来ると

息を切らして足を止めた


ずっと誰も住んでいない家

今ではこちらの家だ。



ゆっくり、ドアを開け

溜息を一つ吐き

畳に倒れこんだ

…3…0→←…2…8



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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