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…23… ページ25

もう一度外に目をやると、女性が見えた

何処かで、見覚えがあるような気もしたが



「…曇に用か?」



特に気にすることなく、話しかけた

でも、相手は驚いている



「…聞いてるのか?」



綺麗な目だなぁ

そんなどうでもいいことを頭に浮かべながら、

髪の毛の長い女性にもう一度声をかけた

…こんな土砂降りなら、傘をさしていても変わらんだろうに。



「…今、曇を呼んで来よう。待っていてくれ」



驚いたまま、一切反応を示さない

まあ、こちらに用はないんだろう。

曇を探しに行こうとすると



「A…殿…」



…こちらの名前を呼んだ。



「…こちらの事、知っているのか」


「何を言うのです。…私の事、覚えていらっしゃいませんか」



困ったような顔で、こちらに近寄って

必死のように声を出した



「?…それより、曇に用があるんじゃないのか?」


「……外を歩いていたら、雨が本降りになってきたものですから。雨宿りでもさせていただこうかと」



ちら、ともう一度傘を見ると

折れていたりはしないものの、女性はすこしだが濡れていた。


…あの、長い階段を土砂降りの中のぼってきたのか。


変な所に考えが行ってしまうものの

女性は、こちらに疑問があるようだ



「しかし、A殿、まだ曇神社にいらしたのですね。景光殿達から離れた後、何処に行ってしまったのかと…」


「…か、げみつどのたち…とは」



女性の勢いに、負けることなく

こちらは覚えていないことに罪悪感すら抱かず、質問を返した

…女性の顔が、少し固まる



「曇 景光殿ですよ?」


「うん」


「…」



不安げな顔で、問うてきたのだが

こちらにそのような記憶はない


人違い…ではないよな。

だって、自分はこんな格好だ

流石に間違えるわけはないだろうし

名前だって一致していた。



「それで…その人って…」



その問いは聞こえていないのか、返事が来ない。



「…おい?」


「あぁ…いえ…。……景光殿は曇の初代当主にございます」



悲しそうな顔をされて、ようやく自分の発言がどれだけ相手にとって

ショックだったのかに気付いた

我ながら無神経であったと罪悪感が迫る


それに、こちらの次に出た言葉はぎこちないものだった

…24…→←…22…



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設定タグ:曇天に笑う , 妖狐
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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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