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…21… ページ23

「空丸は傷だらけって言ってたけど、今は何処にもないじゃないか」


「…あれは、自分でもわからない」



少し、顔に動揺を見せる白子。

こちらは警戒をすることなく続ける



「風呂場に行ったとき、体全身に痛みを感じた

目に違和感を感じた

肌の色が悪くなっていった

血管が浮かんで見えた

傷跡が沢山あった

爪が割れていた

耳も尻尾も灰をかぶって見えた

…自分は妙に、弱々しく、醜く見えた」


「…どういう…」



疑問を口にした白子を無視して、次は林の中であった事を話す



「林では夢を見た

自分は何かから逃げていた

家に松明が投げられていた

左目をくり抜かれていた

血が飛び散っていた

体中がボロボロでいた

刃物が見えた

…以上」



外は、雨が止むどころが

どんどんと激しさを増していき、次第にはごろごろと雷が鳴り始めていた

白子の顔は相変わらず険しい



「…他にも思い出したら口に出す」


「思い出したらって…」


「その夢が、夢だとは思えない」


「…でも、夢なんだろう?」


「色鮮やかだった、音もはっきりと聞き取れて、今でも鮮明に覚えている」



すっと、足元に目をやると

血は止まっていた



「…自分でも、混乱はしている」


「…」


「曇たちを取って食おうなどしない。曇家にはなんとなく」



…昔から関わりがあるような気がするんだ。

その声は雷にかき消された

代わりに



「Aっ!!!何が止むだ!!!雷なってんじゃねえか!!!」



曇の怒号が襖を開ける音とともに聞こえた



「ってあ?…白子と何やってんだ」


「天火、襖壊れたらどうするの」


「白子とは、お前が困り者だと会話をしていただけだ」


「なぬ…っ」



此方の言葉に顔を歪ます曇

じろ、と白子を見て悪戯っぽいであろう笑みを見せる



「なあ白子」


「まぁね」


「酷い!!!」



空丸ーっと、こちらを怒りに来たことは忘れたのか

次男に構ってアピールをしに行った曇の背中を見送る



「しかし…」


「ん?」



まだ、ちょっと警戒があるが

白子はこちらに顔を向けた



「取って食おうなどしない。と言ったものの…」



その言葉に白子は少しばかり顔を歪ませた



「騒がしいのは実際、困りものだな。口を布などで封じるくらいなら構わないだろうか」



真面目に言うと、白子は小さく吹き出す



「ふふ、構わないよ」



…まあ今は、次男の所にいるから

やらなくてもいいか。

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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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