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…20… ページ22

その言葉に耳を傾け、しばしの沈黙

顔を曇に向けて一言



「…怖いな」


「いつからあんな…」



御ふざけか真剣か知らないが、泣きそうな顔を見せた曇

言い年した大人が…と呆れながらも

分からないでもないかもしれんな。

と一応小さく頷いておく



「さて、次男に町へ行くのを頼もうか。買い出しもあるだろう」


「あれ、お兄様仲間はずれなの?」


「…冗談だ」


「目はマジだったぞ」



あれま

ばれたか。

ふっと笑い、曇にもう一度背を向け部屋へ向かった



「んじゃあ、俺は一回部屋に戻るから。雨止んだら行くぞ」



曇も手をひらひらと振って、自室へ戻った。

その背中を見送って、一つ溜息


人といるのは、安心するが

何かが息苦しい

その理由が分からないものだから、余計に苦しさが増している気がしないでもない



「Aさん?」


「…三男」


「どうしたんすか?」



何かに怯えるような顔に、疑問を抱きながら



「何がだ?」



そう問うた。

すると三男は何か言いたげに口をもごもごさせながら

勇気を振り絞ったような声を出して



「血が出てるっす」



自分の足元を指さした。

恐る恐る、というようにゆっくり足元に目線だけを移すと

服の裾からツーと足首を伝って床に血が流れていた


それに怯えたのだが

案外口からは嘘の言葉が漏れた



「…まだ血は止まってなかったか」


「へ?」


「先程、自分は林に行っただろう」


「え、あー…天兄と戦った後っすか?」


「ああ、その時に転んだ」



すると、三男は納得したように頷いた。

良かった。血に気付いたのがコイツで。

と安堵した…瞬間



「宙太郎、ちょっとAに手伝ってほしい事があるから連れてっていいか?」


「へ…あ、あいっす!!」



警戒というか…そんな感じの黒い雰囲気を隠せてない白子が自分の隣に立っていた

三男が、この場を去ると

白子は強引に自分の襟元を掴みながら、自室にだろう。

向かった。



「おやまぁ、怖い事で」



無表情で言うと、白子もいつもの困ったような笑顔をこちらに向けた



「空丸にも聞いたんだけどさ、どういう事なんだ」



白子って阿呆なのか

そうちょっと不安に駆られる



「…傷の事」



あぁ、違った。

阿呆じゃなかった

…にしても

次男はそんなに、自分のことを心配してくれたのだろうか


嬉しさで満たされる半分


――風呂場…。


と、恐怖も生まれた。

…21…→←…19…



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明都 - 妖狐、悩んでますね……景光達との再会があるのか、気になるところです。 (2015年2月21日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 手合せは比良裏乱入して来たら私得です…(笑) (2015年2月14日 14時) (レス) id: 30ec80f3f5 (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続き読みました♪景光と妖狐の手合わせ……どちらが強かったんだろう?そして、ほのぼのな感じが良かったです。景光と妖狐達の再会はないのかな?続き楽しみです♪ (2015年2月14日 14時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - 明都さん» 餌付けです。簡単についていっちゃいますよ~(笑) (2015年2月8日 0時) (レス) id: 3c3d70d76d (このIDを非表示/違反報告)
明都 - 続きも素敵です♪景光さんに餌付けされたのね(笑)逃げてきたぽこも、可愛かったです!続き楽しみにしてます。 (2015年2月7日 13時) (レス) id: 5d47ba764e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2014年9月19日 19時

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