マイペース妖狐と曇兄弟の生活。

…１３… ページ15

そう叫んだ曇の手を振りほどき、少しばかり痛む頬をさする。



「こちらの笑顔見たって、何にもならないだろう」


「またその無表情かよ!!」


「む…次男、何処に行くんだ」


「風呂湧かしにだよ」



去っていく次男の背中を見送り、さて

と曇を見る。



「最近、おかしなことが多い」


「…また、いきなり…」


「先程も、山の中で変な夢を見た」



数秒おき、自分は



「まあいい、三男は居らんのか三男」


「おま…っ自分で言いだしといてまあいいはねえだろ!!」


「三男！」



溜息をついている曇に目も向けず、三男を呼ぶ。


するとドタドタと荒々しい音が。



「呼んだッすかー!?」


「ああ呼んだ」


「あっ天兄ー！こんなところいたんスかー!!」


「おーおー、俺は呼んでねえよ。お前を呼んだのはあっち」



指をさされた。

人を指さしてはならんと言おうと思ったが、よく考えれば自分もさすな。

そう思いやめた



「Aさん、どうしたんすか?」


「…三男、今何をしていた」


「お掃除っすー!!空兄達のお手伝いっすよ！」


「掃除…」



その言葉を理解するのに少し時間がかかった。

そして、頭で理解した時

すかさず曇が驚きの声を上げる



「まさかお前…掃除知らねえの…!?」


「いや、知ってはいる。忘れていただけだ」


「忘れ…!?」


「三男、自分も手伝おう」


「おいおい、掃除知らねえ奴が出来るのかよ…」



心配そうな声を無視して、三男に連れられ掃除を始めた。



「…っておい待て!!!」


「どうした、曇」



いきなりカッと大声を上げた曇。

三男は大袈裟と言うほどに体をビクリと震わせたが、こちらは微動だにせず振り返る

曇は、こちらの肩をポンとたたくと



「まずお前は、自分を綺麗にして来い」


「…あ」


「風呂行け」



服の襟元を掴まれ、ずるずると連れてかれる。



「宙太郎ー、泥んこになったところも綺麗にしとけよー」


「了解っすー!!!」



そして、風呂場まで行くとぽいっと投げられる

…痛い。



「空丸、もう入れるよな?」


「え…あぁ」


「曇、お前は少し乱暴だ」


「へーへー」



面倒くさそうに返事をした曇の横顔は何処か真剣に見えた。



「ちょ、ま…っまだ脱ぐな俺がいる!!!」


「む…すまん」


「つーか、お前男…?女…?」


「さあ、どちらだろうな」



無表情伝えると、次男は言葉を詰まらせたような顔をした


…そして、何かに気付く。



「…お前、その傷、なんだ…?」

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